宮澤英夫短編小説集

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八月の爆発  繭の中  煉獄華  本を読む恋人たち

特別企画 長編小説「クロノス・天使と戦う男」

 このページは、野心作を生み出そうとパソコンに向かい、脱稿まではこぎ付けたものの、諸般の都合により一般公開(商業誌、同人誌に掲載)されなかった短編小説を、この場を借りて公開しようと考え、作成したものです。紹介文を付けておきますので、貴方の好みに合った小説を選んでお読みください。当然、版権絡みのものはありませんので、自由にプリントアウトされて結構です。下に行くほど最近の作品になります。なお、よろしければ読後の感想を、各章末に設けてあるメールへ飛ぶリンク(緑色の「こちら」)、もしくは付設の掲示板までお寄せください。(擱筆とは筆を擱く、つまり脱稿し推敲も終わり、小説が納品の段階まで行ったことを指します)



  八月の爆発   擱筆 平成18年9月21日 AM1:12

 あらすじ: フリーターの「僕」が住んでいるN市には、同市の過去にまつわる、ある不思議な秘密が隠されているらしい。唯一「僕」が知っているのは、「八月の爆発」という謎のキーワードのみ。「僕」は図書館で「八月の爆発」について調べようとするが、大人たちの手によって隠蔽されているらしく、なかなか謎は判明しない。一方、「僕」はバイト先で一緒に働いているスタイリストに恋心を抱いているが、こちらもなかなか仲が進展せず、仕事に行くたび「僕」はやるせない思いでいっぱいになる。そのうち、図書館で「僕」は「八月の爆発」についての手がかりを得るが、それはN市で過去に行われ、現在も続いているという戦争が関係しているという……

 コメント: この短編は私の初期作品に当たります。全体の大まかな構成と冒頭の部分は、主に東京の調布市立図書館で考え、帰佐したすぐ後に残りを書き上げました。ですので、読み返してみると文章にまだ大きな粗が目立ち、今回掲載するにあたって相当直しました。その中で、当時何を表現したかったか忘れてしまった部分も幾つかあり、明らかな文法上の誤りを除いてそのまま載せています。内容は、SFと戦記物の要素を交えた青春小説、といったところでしょうか。当時ノーベル賞を取った、大江健三郎先生の影響を受けてました、はい。近所に住んでたもので。

 八月の爆発 その1  八月の爆発 その2  八月の爆発 その3  八月の爆発 その4

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繭の中  擱筆 平成19年3月30日 AM2:55

 あらすじ: ごく普通の会社員一雄は、わがままな娘亜紀と冷たい妻好美に振り回され、家庭生活に不満を抱えていた。そんなある日、妻と娘の身に変調が生じ、一雄は二人を検査入院させるが、その病床で二人は口から糸を吐き出すという症状を呈し、医師たちが精査するも原因はわからない。一雄は専門家のところに出向き、二人が吐いた糸を見てもらうと、その糸は絹であることが判明する。一雄はただちに病院に向かうが、すでに妻と娘は自ら吐く糸で繭らしきものを作り始めていた……

 コメント: 私は寝ている時に見た夢をこまめに記録して、小説のアイデアに使っています。それまでは小ネタ程度にしか用いていなかったのですが、この小説は見た夢のエッセンスをそのまま物語に仕立てた最初の作品です。とはいえ、夢を逐一描写するとストーリーが破綻だらけになるので、私が普段考えている家族の有り方についての考察を混ぜ込んで、一つのドラマとして再構成しています。自分としては、珍奇なネタと普遍的な問題とを何とか有機的に結合させたつもりですが、書くのに多少難儀したので、この試みがうまくいったかどうか客観的に測れません。ぜひとも感想を頂きたいところです。


 
繭の中 その1 繭の中 その2 繭の中 その3 繭の中 その4 繭の中 その5

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  煉獄華  擱筆 平成20年5月21日 AM2:48

 おことわり: この作品は、著者が分類するところの「不謹慎もの」です。つまり、社会通念上用いるのに望ましくない言葉や、一部の方々に不快感を抱かせるような表現が、作中にて用いられています。昭和40年代以前の娯楽小説を平気で読まれる方には問題ないのでしょうが、小説というものは品行方正で不偏不党、誰をも傷つけない学校指定の教科書のようなものでなければならない、とお考えの方にはあまりお勧めできません。ですが、この作品は寺山修司先生の追求された、真の民衆の娯楽というものはいかなるものか、という命題を、私なりにほんの少し考察した結果、産み出されたものだということをご了解ください。

 あらすじ:昭和四十年代の中頃、廃鉱を抱える町役場に勤める若者、滝はある日、管轄外にも拘らず上司に強要され、閉山となった炭鉱を訪れる。その山の近辺で少なからぬ子供が、奇妙なケガを負っているというのだ。彼は町医者の相澤とともに、子供がケガをする原因を突き止めようとするが、そのさなか彼らの目の前で子供の叫び声が響く……

 コメント:前述した通り、この作品は商業ベースで公開できるものではありません。ネットの規制が強くなれば、いずれここでもアウトになってしまうでしょう。ですが、この作品は前作と同じく、私の見た夢から着想を得ており、またそれが寺山修司の作品のモチーフといくぶんかリンクしている感があると思って、鋭意執筆したものです。なので実験的な要素を持つ小説として、一人でも多くの方に読んでいただきたく、このHPにUPした所存です。出来映えは自分でもそれほどよいものとは言えないのですが、娯楽小説を書くようになった近年と、それ以前の純文学志向の頃との、そのちょうど中間に当たる文体で書かれているようですので、その変遷の過程を知るには適当な資料だと思います。


 煉獄華 その1  煉獄華 その2  煉獄華 その3

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  本を読む恋人たち  新作! 擱筆 平成21年7月1日 AM2:22

 あらすじ:新人サラリーマンの竹本は、行きつけの図書館で同じ常連のOLを好きになる。しかしなかなか想いを伝えられず、書架の透き間から彼女の姿を垣間見るだけだった。そんな折、たまたまその彼女と、世間で話題の本を取り合いになり、それを切っ掛けに二人は接近するようになる……

 コメント:作者初の恋愛もの、当コンテンツ初の書き下ろしです。次に書く(平成21年7月時)長編小説の習作として著わしたものなので、ラブストーリーとしては生硬に思われるかも知れませんが、どうかご容赦ください。でも、ケータイ小説やハーレクインロマンスが蔓延するこの時勢、こんな理屈っぽい、奇妙な恋愛小説があっても構わないと思います。


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◎次回作の題名は、「新デレラ!」です。さて、どういうものになるでしょう?
 第一稿は、「
宮澤英夫マガジン」にて連載中です。

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