職業的フッ素反対論者の手口

 
の中には一寸聞くといかにももっともらしく聞こえてくる嘘が蔓延しているが、保健予防医学の分野においてもまた然りである。中でも虫歯予防におけるブラッシングとフッ素についての嘘の蔓延には義憤を感じずにはいられないものがある。
 
ラッシングと虫歯に関する度重なる疫学調査で虫歯予防に関するブラッシングの効果がただの一回も証明されていないにもかかわらず「あなたのお子さんに虫歯があるのは歯磨きをしていないせいです。」とか「磨いたのと磨けたのは違います」等といういかにももっともらしい指導が大手を振ってまかり通っている。
 
れに対して、フッ素利用の有効性とその安全性については今や世界の常識となっているにもかかわらず、いかにも危険極まりない物質であるかのごときデマが一部の反対論者や、それに乗せられた教職員組合によって垂れ流されている。虫歯に対する効果が実に的確であり安全性も確立しているため学校などで「フッ素によるうがい」を行う動きが出ると、フッ素反対派は俄然勢いづいてくる。フッ素利用の動きがないところでは反対派は特段の動きを見せない。筆者の知るところフッ素反対派の中心人物はフッ素反対そのものが唯一の飯の種なのである。要するに「ゴキブリなきところゴキブリホイホイなし」というわけで反対派は、フッ素利用の動きがあってくれないとおまんまの食い上げになってしまうのである。であるから、今更フッ素の安全性について議論を行うことは、一般の人々に「フッ素の安全性が未だに決着していない」との誤った印象を与えかねないので、結局反対派の思うつぼとなるのである。しかし最近の彼らの動きは黙視しがたいとの思いを抱いている筆者はあえて彼らの嘘と偽善を暴こうと考えた。

「からだ・環境を汚染するフッ素」「劇物扱いのフッ素」「体内に蓄積」「子どもたちがあぶない」「危険な物質」「試薬品で劇薬扱い」「フッ素はサリンの原料」「学校は医療の場ではない・・・」等々と彼らは、いかにも人々の健康を考えているようなポーズをとり、大衆の不安感をあおりまくるのである。以下に彼らの手口について例を挙げて説明する。

「劇物扱いのフッ素」「危険な物質」「試薬品で劇薬扱い」
 非常に多くの化学物質が、劇物、劇薬と指定されている。しかし、胃薬や頭痛薬などほとんどの一般薬はそれらを原料として作られているのである。フッ化ナトリウムを含むミラノール顆粒は劇薬指定だが、洗口用に調整されたもの(週1回法 0.2%)は普通薬である。フッ化ナトリウムの濃度が1%以下であれば、これは風邪薬や目薬などと同じ普通薬となる。お茶やコーヒーなど多くの食品に含有されているカフェインも、精製された結晶は劇薬とされている。栄養ドリンク剤にはほとんどカフェインが添加されている。コンビニにだって売ってる時代である。しかし、「栄養ドリンクは劇薬だ!」とは、間違ってもだれもいわない。

「サリンの原料」
 サリンを構成する元素は、C(炭素)、H(水素)、O(酸素)、P(りん)そしてF(フッ素)である。サリンの原料が危険であるならば、水や空気も危険なのかと問いたい。

フッ素の副作用の例として「斑状歯」の写真をリーフレットに載せて一般人を脅す
 斑状歯は、適量の2〜3倍以上の量のフッ素を、顎の中で永久歯ができ始める時期から長期にわたり継続して摂取した場合に起こる。しかし、わが国は上水道が完備されており、過量のフッ素を長期間継続して摂取することはなく、従って、斑状歯はまず見られない。リーフレットの写真は、上水道が整備されていない国で、高濃度のフッ素を含む天然水(井戸水など)を常用している地域の例と思われる。日本で水道を使用している人の歯は絶対に大丈夫なのである。また、骨硬化症は、さらに多くの、例えば適量の10倍以上を数10年間摂取した場合に起こることがあるが、これもわが国ではありえない。

「急性中毒」もあります
 急性中毒は、誤って過量に飲み込んだ場合に吐き気、嘔吐、腹痛、下痢などの症状がでる。中毒量は、体重1kg当たりフッ素として約2mgといわれている。フッ素洗口(フッ素のうがい)液は、たとえ誤って全部飲み込んだ場合でも全く心配はない。例えば、体重20kgの園児が週1回法でフッ素洗口を行っている場合、この洗口液7ml中のフッ素量は、6.3mgであるから2mgx20kg/6.3mg=6.3となり、7人分の洗口液を1度に飲み込まない限り、急性中毒の心配はない。

「一律に実施するのは問題・・・」
 フッ素洗口は、公衆衛生的なう蝕予防手段として開発されたものである。公衆衛生とは、みんなですることが基本だから、一律にすることを目指すものである。しかし、洗口についての正しい情報提供・説明を行った上で希望者に実施することを前提として進められている。逆に、説明を受けて希望する人がいるにもかかわらず、一律に実施させない事の方が問題ではないだろうか。

「6歳未満は・・・禁忌」
 WHO(世界保健機関)は一貫して、むし歯予防のためのフッ素の利用を推奨している。テクニカルレポートでもその意向で書かれている。ただ、国際機関だから世界の平均的なレベルでの推奨(勧告)であり、それぞれの国では状況に合わせてフッ素利用を選択することになる。我が国のように、水道水、食塩、ミルクへのフッ素添加が行われておらず、洗口が上手にできる体制が整えられる状況では当てはまらないので、このことに対する日本口腔衛生学会の正式な見解が出されている。

「ダウン症の高出生率」「人体に影響」「体に及ぼす悪影響も報告されています。」「歯科医師会においても、フッ素の効用については賛否両論です。」
 人体への悪影響については、発がん、染色体異常などすべてが米国において研究されているが、フッ素との因果関係は報告されていない。

「フッ素事故で一人死亡」「多量添加で児童がフッ素中毒」
 水道水フッ素化等での人為的な事故が起こったからといって、同じフッ素を使うフッ素洗口やフッ素塗布そのもの、さらにはフッ素そのものを危険とするのは誤りである。医療事故がおこるから、医療全てを否定するのであろうか?その理屈で行けば、交通事故が起こるから、車やバス、飛行機には乗らないということになる
 また、すべての物質は、結合する相手で性質が変わる。フッ化水素(HF)はとても強い酸で、この溶液をフッ化ナトリウム溶液と間違えて口に入れれば大変なことになる。塩化ナトリウム(食塩)NaClと塩化水素HCl(塩酸)を同一視するようなものである。

「胎児に害作用が マウス実験」
 WHO(世界保健機関)では、このような反対論について「・・・既に立証され、一般に認められたフッ素利用の安全性に対する反対論は、特殊な条件、不完全な病歴、現症に関するあいまいな記載、あるいはデータの誤った分析及び解釈等に基調したものである。・・・」と分析している。

「幼児向け塗布液で金魚が死亡」
 全くナンセンスな実験で、これは反対派が講演会場などで見せ物としてよくやっているようである。少し考えればだれでも理解できるのだが、金魚にとってはたいへんな迷惑である。一般的な水域で最もフッ素濃度が高いのは海水だが、1.3ppmである。この自然の濃度では、多くの生物、魚介類が生活している。しかしながら、この金魚実験のフッ素濃度は、4500ppmであるから金魚はたまらない。金魚が本来生活している淡水は、0.1ppm程度しかないのだから。これは、フッ素だけの話ではない。すべての物質で同じことがいえる。例えば食塩についてみても、淡水魚は海水中では普通に生きられないし、その逆も同様である。また、私たちが日常口にするもの、例えばみそ汁、醤油、ビールなどに金魚を入れたらどうなるのか。だからといって、みそ汁は危険というのであろうか。醤油は?ビールは?大切なことは、すべての物質は、私たちの生活に役立つ量(濃度)と使い方があるのだということである。

「学校は医療の場ではない・・・」
 フッ素洗口は、歯科医師法に謳われている医療行為ではないが、学校保健法第二条に規定する学校保健安全計画に位置づけられ、保健管理の一環として実施するものである。保健管理と保健教育は車の両輪であることは学校保健のイロハである。
(佐賀県福祉保健環境部健康増進課の資料を参照した)

資料1.フッ素Q&A

資料2.フッ素概説
資料3.米国主要都市における水道水のフッ素化状況


参考ページ:フッ素洗口中止に思う



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