この私を生かそうと
 
妙念寺電話サービスです。
お電話ありがとうございました。
夏の暑さとともに、食中毒のニュースが聞こえてきます。
特に去年は、O−157という病原菌が全国的に猛威をふるって、
学校給食が中止になるなど、記憶に新しい所です。
 
 こうした病原菌は、どんなに努力し、注意しても
感染するときには、感染してしまうものです。
 
ところが、細菌は、人間を困らせる悪いものだけではありません。
お酒や味噌をつくるような、酵母菌など人間の生活に
役立つ細菌も多いものです。
 
妙好人の才市さんの言葉に、
 
  かぜをひけば せきが出る  才市がごほうぎのかぜをひいた
  念仏のせきが 出る 出る
 
というのがあります。
 
浅原才市さんは風邪をひいたように
ご法義に感染して、知らず知らずに南無阿弥陀仏、
南無阿弥陀仏とセキが出るようにお念仏が
ひとりでに出てくるといっておられます。
 
南無阿弥陀仏の働きを、味あうのにこうした細菌の、
それも役立つ細菌の働きに例えて考えてみると、
少しは分かったような、うなずけるような気がします。
 
ご縁があれば、南無阿弥陀仏に自然に出会えるもの、
どんなに逃げ回っても抵抗しても、南無阿弥陀仏に出会えるのです。
 
南無阿弥陀仏に出会えると、南無阿弥陀仏の働きで、
この私の生活が変化してきます。
これまで当たり前と思っていた世界が、一変して、
人生がすばらしい世界になるのです。
 
平凡な毎日が、豊かな変化の多い毎日に変わってくるのです。
 
南無阿弥陀仏の働きは、頭で考えても理解できませんが、
体験してはじめてうなずけるものです。
 
 その働きは、科学的な説明はつきませんが、
南無阿弥陀仏に出会うことで、変化が起ってくるのは確かです。
 
阿弥陀如来の働きを、南無阿弥陀仏の働きのほんの一部でも、
うなずけ味わうことができれば、亡くなった先輩たちの働きや、
いま私の回りで生活している多くの人びとの働きが、
少しずつわかってきます。
 
この私は、私一人のものではなく、多くの人びとに
支えられていることが、味わえてきます。
 
私の知っている人も、気づかない人も、すべての人びとが、
この私を生かすために、さまざまな努力をして
おられることに気づきます。
 
それが分かってくると、私自身がこの世の中で
どうでもよい平凡な脇役でしかなかったものが、
いつの間にやら、人生の主役に変わっているのに気づきます。
 
多くの人びとや、自然のすべての生き物が、
この私を生かそうとして精一杯に働きかけていることがうなずけます。
平凡な人生が意味の多い人生に変化するのです。
 
南無阿弥陀仏を口にしながら、自分の耳で聞きながら、
南無阿弥陀仏の生活をして行けば、酵母菌で自然に
お酒ができるように、味のよい漬物ができるように、
私の想像もできないすばらしい生活が展開して行くのです。
 
それは、私だけの喜びではなく、私の回りの多くの人とともに
喜べる喜びの世界に変わって行くのです。
素直に南無阿弥陀仏の人生を受け入れ、
力いっぱい送りたいものです。
妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。
次回は、7月3日に新しい内容に変わります。
 
                       ( 平成 9年 6月26日〜 第231回 )