第1268回 降誕会とは どういう意味ですか?

 平成29年 5月18日~

 ご門徒のお声を聞かせていただくために、
投書箱を本堂に置いていますが、
 その中に 降誕会についての質問がありました。
  総会と降誕会の時に、次のようなメモをお渡しして、お話をしようとおもいます。

1,降誕会の「降」の字には、降りる、降(ふ)る、などの意味があります。
  降雨、降下、降格、降雪、降水、降臨、昇降 降参、投降、降伏 等。

   飛行機を降りる 船を降りるなどと使い 反対語は、乗る。
   下るという言葉もありますが、この場合の反対語は、上るでしょう。

   降りるには、高いところから 降りてくる感じがするほかに、
   仕事を降りる 役職を降りるなど、離れるの意味もあります。
   その「降」の字に、誕生の「誕」、そして法会の「会」、降誕会、これを素直に
   読むと、こうたんえと ですが、実は、ごうたんえと、ごうと濁ります。

2、降誕会は、辞書によると、もともと お釈迦さまの誕生日のこと
  灌仏会(かんぶつえ)ともいう。 

   ② 各宗派の宗祖の誕生日を記念して行う法会とあります。
   浄土真宗だけではなく、浄土宗、天台宗、日蓮宗、真言宗など、多くの宗派で
   開祖や釈尊の誕生日を降誕会といい、法要を勤めておられます。

3,親鸞聖人の誕生日は、承安3(1173)4月1日ですが、浄土真宗本願寺派では 
  明治7年以降、新暦に改め、5月21日を、宗祖親鸞聖人降誕会として、
  ご本山はじめ全国のお寺で、慶びの祝宴や法座が勤まっています。


4,お釈迦さまは、今から2500年前、悩み苦しむ人びとが多いこの世界に降りて来て
  人間の姿で誕生され、教えを説かれた、そこで、降誕会と名付けたのでしょう。

ところで、親鸞聖人のご和讚に、

     安楽浄土にいたるひと 五濁悪世にかへりては 
      釈迦牟尼仏のごとくにて 利益衆生はきはもなし とあります。

  お釈迦さまが、お浄土からこの世に来て、教えを説いていただいたように
  お浄土に生まれ、仏のさとりを得られた方は、お釈迦さまがそうだったように、
  お浄土から、この世に還ってきて お念仏の教えを説いていただいているのだと
  親鸞聖人は、教えていただいています。


  そして、私たちは、親鸞聖人もお釈迦さまと同じように、お浄土から来られた
   還相の菩薩さまであったと、味わい「降誕会」としてお勤めしているのです。

5,何のために この世に、誕生されたのか、それはお念仏の教えを説くため。
  では、お念仏の教えとは いったいどういう教えなのか。
  それは、仏の恩を知り、恩に報いる教えであると、言えるのではないでしょうか。
  法座のあとには毎回、「恩徳讃」を歌います。親鸞聖人の御命日には、
  「報恩講」をお勤めします。

   仏さまの大きな慈悲のこころを、私たちに気づかせ いつでも、どこでも、
  誰でも支えられ、見守られていることを味わわせ、自分の力だけで、一人で 
  生きているのではなく、仏さまに、そして周りの大きな力に護られていることを 
  感じさせ、この人生を精いっぱいに生き抜く力を育てていただいているのです。
  南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏と呼びかけ、私たちに南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏と

   口にさせながら、充実した人生が与えられる、それが、お念仏の教えです。

6,仏さまの慈悲に、そのはたらきに気づくことで、人生はまるで違って見えてくる。
  生きる目標がしっかりと見えてくる。行き先がはっきりすることで、どんな苦難に  
  出会おうと、恐れず騒がず、悩まず堂々と生きていくことが出来るのです。  
  南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏と口にし、耳で聞きながらの生活で、自分の  
  行き先が はっきりと知らされ、何のために生まれ、何のために生き、何をすれば

   よいのか、この私が出来ること、やるべきこと、それが見えてくるのです。
   生きることの目的と、目標を、そして慶びを、はっきりと教えていただけるのです。


 今月21日に 門信徒総会の後、降誕会を開き、ここで、このようにお話したいと思っています。
 どうぞ、お揃いで、お参りください。



          


           私も一言(伝言板)