第1228回 人生のもしもしコーナー

平成28年 8月11日~

 佐賀教区で年二回 発行している「歓喜」にこんな法話が 掲載されていました。
お若い布教使さんのご法話です。北山組 最勝寺 田中法雨(のりあ)師

 毎年、お盆の時期になりますと、普段は実家や地元から離れて
生活されている方が、大型連休を利用してお帰りになります。
沢山の方々が移動されますので、いわゆる帰省ラッシュ、そして
Uターンラッシュが全国で発生します。

テレビのニュースでもその様子がよく放送されていますが、それと同時に、
駅や空港でのお別れの様子を見ることはないでしょうか。
おじいちゃんおばあちゃんとお孫さん、親子、若いカップルなど
その姿は様々です。

しかし、どの方々も別れを惜しみ、最後まで「元気でいてね」などと
お話しをされています。

 そんな中『もしもしコーナー』なるものが、設けられている空港が
あるそうです。
空港では安全のために、搭乗者は最後の手続きが終わると、
見送りの方との接触は出来なくなっています。
完全にガラスの壁で仕切られていて、話をする事さえ出来ないのです。

しかし、もしもしコーナーではガラスの壁を挟ん搭乗側と見送り側の
両方に、電話機が設置されています。
この電話機を使い、出発するぎりぎりまで話をする事ができるのです。

最後の最後までお話しされているその姿を見ると、何だか心温まる
ものがあります。

 さて、皆さんにとって『お仏壇』とは、どのような場所でしょうか。
生きていると、誰にも言えない程の苦しみや悲しみに出会う事があります。
その苦しみ悲しみを打ち明けられる場所が、もし、お仏壇であった時。
そこには、先に往かれた方々が仏さまとなって、いてくださいます。

私の苦悩を自らの苦悩とし、共に涙を流してくださっています。
そして「そんなあなただから、放っておくことができないのだよ。
この仏がどんな時でも一緒だからね」そう改めて喚びかけて
くださるのです。

だからこそ、私がこの世のご縁尽きていく、最期の最期まで
仏さまとお話しさせて頂く事が出来るのです。

それは私にとって、とても温かな『人生のもしもしコーナー』
でありました。 
         佐賀教区 歓喜 平成28年 7月発行 


         


           私も一言(伝言板)