第1196回 感激する こころ

 平成27年 12月 31日〜

 「毎日が単調でつまらない」

まるで、単調な毎日の生活が退屈で、虚しい人生であるかのように
嘆く人がいます。ほんとうにそうでしょうか、実は、生活を退屈にしているのは、
「単調な毎日」にあるのではなく、自分自身にあるのです。


 子どものころを振り返ってみてください。毎日わくわくし、楽しいことだらけで、
退屈している暇などなかったのではないでしょうか。

私も、いつもの通いなれた通学路であるのに、毎日のように新しい発見があり、
常に新鮮だったことを覚えています。


子どもが感激するこころを持ち合わせているのは、決まりきった価値観や
既成概念にとらわれず、自由な視点でものを見たり、聞いたりし、感じられるからです。

 大人になるにつれて、視点が型にはまっていくとともに感動するこころを失っていき、
「毎日が単調だ」と思うのです。

 今のこのひとときは、いつまでも続きません。一瞬で過ぎ去って、
二度と来ない貴重なひとときです。それほど大事な一刻一刻を、
「退屈でつまらない時間だ」と思って過ごすのはもったいないかぎりです。


今このひとときにしかないもの、ないことを、そのときそのときで見たり、聞いたり、
体験しようとする積極的な態度で、日々を過ごしてみる。


 そうすると、普段はぼんやりと通りすぎている通勤路でも、ちょっと道端に
目を向ければ、小さな花が咲いているのに気づいたりします。

その花に蝶々が舞っていたり、民家の軒先にツバメが巣をつくっているのを
発見することもあるかもしれません。
柳が芽吹いてきた、街路樹が色づいてきた、こんなところに新しい店ができた……など、
新鮮な驚きは至るところにあります。


 壁に同じ絵が毎日かかっていても、その絵が好きな人には退屈だと感じられませんが、
興味のない人には、代わり映えがしない光景だと退屈に思うものです。

つまり、同じものを見ても、どう感じるかは、その人によって、あるいは、
その日の気分や体調などによって違ってきます。


 少しも代わり映えがしないように見える状況を嘆くのではなく、その状況でも
「今しかできないことは何か」と気持ちを切り替えて、そこから新しいことを発見し、
積極的に取り組んでいこうとすることです。

そうした姿勢があれば、人生は退屈でなくなります。
人生を退屈にしているのは、誰あろう、「退屈だ」と嘆いている自分自身なのです。

            株式会社PHP研究所発行 「人生は価値ある一瞬」より


         


           私も一言(伝言板)