PINK LADY
 ★全米発売 1979/06/01 ELEKTRA 他全世界発売 「PINK LADY」
 ★日本発売 1979/09/05 ビクター音楽産業 「ピンク・レディー・イン・USA」
 ★CD化発売 2002/12/15  ViViD SOUND 「ピンク・レディー・イン・USA」

 PRODUCES AND ENGINEERED BY MICHAEL LLOYD

 Arranged by John D'Andrea
 Walk Away Renee Arranged by Erich Bulling
 Second Engineer : Jim Crosby
 Musician Contracting : Shaun Harris
 Mastered at Artisan Sound
 Recorders by Bob McCloud
 Special Background Vocals : The Pearl Divers
 Personal Direction : Paul Drew
 Album Design : Mike Salisbury
 Cover Photography : David Alexander

1 Kiss In The Dark

 
Michael Lloyd

全米ビルボードチャート総合で37位にランクインした楽曲!
アメリカでTOP40にチャートインした日本のアーティストは、KYU SAKAMOTOとPINK LADYの二組だけになる。マイケルロイド氏プロデュースによりサウンド面は、アルバム全曲に統一感が施され、哀愁漂うストリングスはドイツ産ミュンヘンサウンドの色合い。バックコーラスをほぼ全曲で担当しているパール・ダイバースは当時人気絶頂だったビージーズ的なファルセットを多用したアプローチで、PL二人のブレスの息使いまで計算されつくしたアメリカ仕様のPINK LADYを盛りたてている。サビからリズムに絡みつくハンドクラップは、アメリカのダンスシーンに挑戦状を叩きつけるかの勢いでBPM137をキープ!アメリカでは12インチヴァージョンもDISCO/CLUB向けに対応しており、2コーラス後のカッティングギターが気持ちよく流れるというフロアー向け!
海外デビューシングル第一弾
「Kiss In The Dark / Walk Away Renee」

■1979/05/01 世界40数ヵ国同時発売

■1979/09/05 日本発売(日本盤)

2 Dancing In The Holls Of Love

 Billy Alessi - Bobby Alesy

全米第二弾シングル曲

7インチヴァージョンはイントロからいきなりボーカルに入るミックスに対して、アルバム収録ヴァージョンは、シンコペーションのストリングスがじっくり聴ける様に衣替え!作者のアレッシーのヴァージョンはAOR濃度も鮮やかに制作されているのに対し、PL版はリズムを前面に出しベースとの絡みもファンキーな出来合いに強調されているのでフックの効いた楽曲へと変貌している。
ちなみにNBCレギュラー番組収録の為、渡米する直前の国内でのコンサートでは、この楽曲を、よりミディアムなアレンジで黒いフィーリングたっぷりに披露している。
3 Show Me The Way To Love

 Michael Lloyd

クワイエットストーム(ブラック系バラード)として秀作な出来のこの楽曲は、マイケルロイドならではの美メロ作品!90年代に活躍したベビーフェイスにも通じるメロディーラインが素晴らしく、サビの部分をヘッドホンで聴いてみると、MIE&KEIのハーモニーがしっかり確認できる!M−3でいきなりバラード作品を持ってくるあたり、エレクトラレーベルが本腰をいれてPLをアメリカでの現代版スープリームスとして売り出そうという作戦を読み取ることができる。
ちなみにこの楽曲、
全米第二弾シングル曲のカップリングとして、シングルカットされている。
4 Walk Away Renee

 Mike Brown - Bob Calilli
  - Tony Sansone


『KISS IN THE DARK』で世界デビューを果たしたPL。カップリング曲のこの楽曲が当時アメリカのいくつかの音楽誌で、話題になっていたことは日本のPLファンにはあまり知られていない。
この曲はカヴァー曲であるということがアメリカの音楽誌によって話題になった。PLの二人もインタビューを受けているのだが、マイケルロイドの選曲によるものだと二人が答えている。カップリング曲が話題になるというのも『KISS IN THE DARK』の成功によるものなので、海外で音楽的な評価を得られていたことが、当時日本に情報としてもっと入ってきていればと悔やまれてならない。
5 Strangers When We Kiss

 
Michael Lloyd - John D'Andrea

PLの二人がマイケルロイドのスタジオで、この曲のボーカル録りを行った時は、まだバックトラックのリズム(ドラム&ベース)しか出来上がっていない状態で、ボーカル録りをしたという環境だった。その後ストリングスやバックコーラスを重ねていくという手順でレコーディングが進められていった。リズムだけのオケにボーカルを重ねていく作業は、ボーカルだけが浮き上がったような特徴を表現するのには、最高の手段でもあるので、さすがマイケルロイドと感心させられる。ピアノとストリングスの絡みがオカズとしての効果を十分に成し得ているイントロ部分からサビまでの展開は哀愁漂うメロディーが生かされている。
のちに日本でもシングルとして『うたかた』が発売されているが、こちらは日本仕様ということでピアノ部分をホーンセクションでというアプローチ!リズムやベースも押さえ気味に、別の味わいを堪能することが出来る。
6 Love Me Tonight

 Daniele Pace - Mario Panzeri
  - Lorenzo Pilat - Barry Mason

本人達がデビュー前からフェバリット・アーティストとして名前を挙げているトム・ジョーンズの作品を、よりダンサブルに料理したこの作品!
海外の人気番組『レイフ・ギャレットショー』でも、二人はレイフと一緒に披露している。(HPの1979年参照)またこの曲は、アメリカ盤のアルバム収録曲の中でも、レコーディングが早い時期に行われていた楽曲でもある。曲を聴きながら歌詞を追ってみると、サビの部分が、早口言葉のようにたたみかけて歌うようにしないと、リズムに追いつかないので難度の高い曲でもある。2コーラス後に聴けるMIEのハイトーンがコーラスの狭間から気持ちよく飛び出してくる様が心地よい。
7 I Wont To Give You My Everything

 
Larry Weiss

AOR系のメロウな作品のこの楽曲、カール・ダグラス繋がりという話しが最近、海外のDISCO系アーティストのBBSで話題になっていましたが、この曲は最近の一部の若者の間では、『UFO』よりも有名な曲になっている。DJ.MURO氏がミックステープに収録したり、ダンス・クラシック系のクラブでヘビーローテーションでエアプレイされたり、ブラック系音楽誌にPLのアメリカ盤アルバムが特集されていたりでクラブで遊ぶ若者たちの間で現在、フリーソウルの一曲として認知されている。
注目して頂きたいのが、この楽曲にはMIE,KEIそれぞれのソロイストとしての魅力をチラッと聴かせてくれる部分がある。1コーラスのサビでKEI,2コーラスのサビでMIEが『MY EVERYTHING〜』と追っかけコーラスをソロで被せてあるので、ユニゾン部分を揃えて歌うよう指示を出していたというマイケル・ロイドが、この楽曲に関して技ありのボーカルアレンジを聴かせてPLの魅力を引き出してくれている。
8 Deeply
(From The Motion Picture "HAPPY")

 Norman Gimbel - Charies Fox

US映画『HAPPY』の挿入歌として起用されたことは、アメリカでは新人アーティスト扱いのPLにとって、アルバム収録曲が映画のサウンドトラックとして起用されたということで、いかにアメリカサイドがPLに力を入れてくれていたのかが読み取れる。全編を通してファルセットで歌うPLに、ダイアナ・ロスのボーカルアプローチに準じた歌唱法とも聴こえるようだが、どちらかというとバリーホワイト一派のラブ・アンリミテッド(黒人女性3人組)的な要素をガッツリ組み込んでいるようだ。アルバム中、最もバラード色が濃いこの作品に黒いフィーィングでアレンジされているのが嬉しい。多くの人種が集まるアメリカで、白人女性シンガーでも無く、黒人女性シンガーでも無い、日本のアーティストであるPLがボーカルでの個性を打ち出しアメリカで勝負するにあたってマイケル・ロイドが考えだした、セクシーでキュートに聴こえるウィスパー歌唱法が、この楽曲で炸裂!
9 Give Me Your Love

 Bob Gundry

このアルバムに収録されている全10曲の中で、最もレンジ(音域)が必要とされる作品。80年にスペクトラム(日本のアースウィンド&ファイアーとの呼び声もあった)とのジョイントライブで披露された時には、MIE&KEIがサビの部分で素晴らしいハーモニーを聴かせてくれていたことは、コアなファンの間で記憶に残っている方も多いと思う。ピアノから静かに始まるアレンジは洋楽ファンの間で当時、デヴィット・フォスターでは?と噂にもなった。事実はクレジットに掲載が無いため、分からないのだが、PLに関わる海外のスタッフ陣を考えると確かにあり得る話しでもある。2コーラスめからボーカルフェイク(JAZZ的なボーカルアプローチ)が多様され、PLの懐の深さが表現されるように制作されているのが嬉しい。アルバム収録曲中、ハイライトとしてこの曲をこの位置に配置したポール・ドゥルー氏、アメリカでPLが活動していく上で、音楽的なジャンルをしっかりアルバム中で表現しておく事を大切にすることで、シングルというよりはアルバムを重視するアメリカの音楽業界ならではのアルバム・トータルコーディネイトがなされている。
10 Love Countdown

 Detlef Petersen - James Hopkins
  - James Harrison - Geoffey Peacey

PLの海外活動や音楽的部分に最も忠実な評価を書き続けてくれた音楽評論家、平岡正明氏がPLの作品の中でベストだと自身の本に書かれており、またこの話しは平岡氏から直接本人たちにも伝えられた。もともとこの楽曲がアメリカでのデビュー曲として伝えられていたのだが『KISS IN THE DARK』に差し替えられた。サウンド面に注目してみると、ファンキーなカッティングギターにグイグイとサビに向かって押し上げて行くカウントなど、作品としてみれば『KISS IN THE DARK』より黒いテイストが色濃く打ち出されている。R&B的な要素がふんだんに盛り込まれたアレンジが効いて、アルバムの最後を飾るに相応しい楽曲として、ポール・ドゥルー氏が暖めていた作品とも感じるくらいだ。
Update:2005.03.14 Thanks!