宮澤英夫フィルモグラフィー
ここは、著者が九州大学映画研究部に所属していた際、
自主製作した8ミリ映画を簡単に紹介するページです。
昭和63年度作品 | |||
1/4 | 4分12秒 COLOR 8mmfilm 監督・脚本・撮影・編集:宮澤英夫 録音:大山健一 出演:岩本泉、西本和広、土井至朗、稲葉威太郎、 川野美樹、伊東都志子 |
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あらすじ:九州の某国立大学教養部では講義の初日、聴講制限なる悪の慣習が存在した。講義を受けることのできる残り一つの席を賭けて、四人の学生が決闘を敢行する。 解説:九大映研に入部すると、一年生はいきなり三分間映画なるショート・プログラムを作る慣習がありました。当然私も作ることとなり、監督になりたかった私は真っ先に手を上げて、まだ訳のわかっていない同級生をかき集め、手近なところからネタを持ってきて、たちまちのうちに仕上げたのがこの作品です。この時の私の演出技術、および現場処理能力は大変お粗末なものであって(まあ、生まれて初めての監督だからでしょうが)、この作品に携わった大半の部員が映研を離れていきました。内容もしかるべきものです。 |
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電脳都市 | 14分50秒 COLOR 8mmfilm 監督・脚本・撮影:宮澤英夫 照明:宗像真一、塚田英彦 出演:和田敏法、川野祐一、土井至朗、横尾博志、 高橋将継、高橋純 |
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あらすじ:九州は福岡の街を謎の怪電波が襲い、テレビをはじめ街の情報網が分断される。Q大のメディア研はそれをいち早く察知し、部員の和田が怪電波の正体を求めて、ビデオカメラや特殊なレーダーを手に街を彷徨する。そして見つけた電波を発する謎の男は、超兵器レーザーサーベルを振りかざして和田に戦いを挑む。 解説:ゴダールの「アルファヴィル」や坂村健、「マックス・ヘッドルーム」にバリバリ影響を受けて作った作品です。ですが、こんな内容が15分で収まるのか、と脚本を見た人からさんざん言われ、出来上がっても力量は先達よりはるかに劣り、よくわからないと酷評でした。今見ると時勢に合ってないのは仕方ないですが、川野氏が作ったレーザー・サーベルなどの小道具だけは光っています。まあ、着想の時点で私がライトサーベルをやりたかった、というのは確かにありますが。 |
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平成元年(昭和64年)度作品 | |||
日々好日 | 16分11秒 B/W(白黒) 8mmfilm 監督・脚本・撮影:宮澤英夫 照明:宗像真一、塚田英彦、土井至朗 音効:麻生弘蔵 出演:川野祐一、和田敏法 第2回今どきの若者映像祭 優秀賞 ひろしま映像展‘95 企画脚本賞 等 受賞 |
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あらすじ:大学生の欅田の部屋に、家賃を滞納して貸間から追い出された同級生の立花が転がり込んでくる。本心では疎ましく思いつつも、二人は平穏な共同生活をしばらく営む。何となく流れる時間。何も起こらぬ退屈な日々。しかし立花のもとに、高校の頃の同級生の女の子が訪れることになり、時間が動き出す。 解説:一応、私の出世作です。いろいろと賞を貰いました。初めてのモノクロ作品で、現像所が慣れない(というか例のない)現像処理に手順を間違って、一旦はカラーで上がってきてしまい、やむなく再撮してことなきを得た、というトラブルもありました。上映中、画面が不自然にぶれているのはそのためです。スチールからもわかる通り、小津安二郎監督の影響がかなり強いです。それとアバンはまんま、「ストレンジャー・ザン・パラダイス」のパクり(オマージュ?リスペクト?)です。 |
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サークル棟問題記録‘83 | 8分53秒 COLOR 8ofilm *ドキュメンタリー 撮影:九州大学映画研究部OB(‘83年当時の学生) 脚本・編集:宮澤英夫 |
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概要:1983年、九州大学は学生の合意を得ず、勝手に老朽化したサークル共用施設(サークル棟)の建て替えを計画。それに伴い、大学側に都合のいいような運営形態にすることが明らかになり、学生側は反発。本作品は、当時のサークル棟周辺で起きた、反対運動を収めたフィルムを、私見をまじえず列挙したものである。 解説:私が映画研究部に入って少し経った頃、部の昔のフィルムを観ようと棚を漁っていると、「見るだけムダ」と箱書きされた、未編集のフィルムを見つけました。何だろう、と逆に好奇心をかき立てられて映写機にかけたところ、このような動画が映っていました。折りしも当時はしきり問題というものが持ち上がっていて(大学のサークル活動をやっていた人はご存知だと思いますが)、今の無気力な学生と違って、昔の学生はまだこんなに元気だったんだ、と感銘を受け、自治会から資料を借りてこのような作品を作ってみた訳です。 |
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平成二年度作品 | |||
街 道 | 16分47秒 B/W(パートカラー) 8mmfilm *ドキュメンタリー 監督・脚本・撮影:宮澤英夫 撮影補助:平川大作 |
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概要:佐賀県佐賀市を縦断する江戸時代の旧道、長崎街道。その道に面した旧家で幼き日を過ごした監督が、その頃感じ思った街の一方的な印象と、ごくわずかの歴史的知識に基づいて、幕末動乱期の佐賀人のメンタリティーを大雑把に分析する。 解説:迫り来る次の定例上映会に間に合わせるため、有り物のネタを用い、早撮りで仕上げたドキュメンタリー作品です。なので今見返すと叩きつけるように作った感がアリアリで、寺山修司の「田園に死す」を真似た構成も効果的でなく、我ながら失敗作だと認めざるを得ません。でも、一部の学生映画好きに、「こういう手があったか」と言わしめたほどのインパクトはあるようで、個人的には気に入っています。まあ、プライベート・フィルムの範疇なのでしょう。当時の私も出演しています。 |
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平成三年度作品 | |||
あねおとうと | 22分02秒 B/W 8mmfilm 監督:宮澤英夫 脚本:横尾博志、平川大作、宮澤英夫 撮影:中垣洋二 助監督:川崎大輔 照明:川野祐一、永野茂 出演:石崎知春、吉田雅則、山口晋平、 佐野誠治、川崎大輔、その他 |
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あらすじ:OLをしている孝子の部屋に、弟で大学生の英次が転がり込んでくる。家賃を滞納して下宿から出入り禁止を喰らい、親とも喧嘩になり仕方なく来たという。あきれつつも孝子は英次を受け入れ、共同生活を始める。しかし、姉弟の仲もまた喧嘩で成り立っているようなもので、小さな衝突が絶えず起こった。そしてそのせいで孝子は恋人とも喧嘩してしまい、八つ当たりする孝子に更に怒りをおぼえ、英次は出ていってしまう。彼はなかなか帰ってこず、不安な日々を送る孝子の目に、英次が忘れていったカバンが映る。 解説:映研時代の最終作です。といっても単にこれ以降、作品を作ることが出来なかっただけですが。初めて女性を主役に据えたので、どう演出してよいかわからず、その生硬さがモロに出ていて、自分で見ても良作とは言えません。筋もカメラワークも「日々好日」の二番煎じだとか、女性が描けてない、という批判の言葉も貰い、おまけにタイトルバックの誤植も多く、自ら封印したいぐらいです。ですがストーリーそのものは、文筆業に活動範囲を移した後の流れの源流となっているようで、私の諸作品を考察する上では重要な位置を占めていると思います。 |
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