新連載!?ガレージキット製作講座
ここ数年、WF等のイベントで知り合いになった方に フィギュアは好きだし自分で作ってみたいけど
難しそうだし作り方がわからない、といったことをよく言われます。
昔は(こんな言い方すると年寄りくさいけど)模型誌でもよくガレージキットの製作講座なんかも
やってたけども最近はサッパリ、、、 確かに今から入るにはキビシイ状況にも思えます。
また、正直言って仮に記事があってもあまりにも古典的、というかコンサバすぎたり
逆に実用的じゃなかったりするような気が、、、突き詰めれば技法とは個人差
(レベルではなく感性の)の集積で「絶対正しい」というのはないんですが
とりあえずガレージキットに関していえば 原型師が作る完成見本、というのがひとつの基準に
なってると思うので その作業工程を詳しく紹介していけば何かしらの「安心感」が
得られるのではないかと思い 、今回の製作講座に踏み切りました。
、、、逆に不安になるかも知れませんが、、、(自爆)
と いうワケで「あくまで みすまるは こうやってる」ぐらいなカンジで追っていってもらえばいいのでは。
ただ、最初に予防線というか基本方針を述べると
1.サフレスはしない(理由についてはいずれ述べますが、とりあえず私はしてません)
2.目の塗装には 模型用の塗料は使ってない
ので、1,2の技法の解説を期待してた方にはスミマセン、というか他をあたってください。
誤解がないように言っておきますが、サフレスが悪い、なんてことはもちろんありません。
ただ、私がやってないだけなんです。 このへんが先述の「個人差」なんですね。
前置きが長くなってしまいましたが とりあえず 「ともみ(7)中学校制服版」をテキストに
製作開始です!!
第一部 製作に入る前に
これはガレージキット(以下GK)に限らず、プラモデルでもそうなんですが まず
「説明書を読んで 部品のチェックをする」です。最優先事項よ!!(みずほ先生調で)
特にGKは商品寿命が短く、イベント品ならばパーツの問い合わせができる期間が決まってるモノも多いです。
ですから説明書を読んで全体の作業の流れやポイントを頭に入れるのと同時に
そういった「約束事」も見落とさないようにしてください。 部品が多いキットほど要注意です。
というワケで キット内容の確認。レジンの他にリボンも入ってます。
説明書に部品図がある時は(ないコトもある)ペンでチェックしましょう。もし不良品や欠品があった場合は
その説明書のコピーをとって説明を入れてもらえれば 問い合わせの際ディーラーさんも助かります。
ここで説明書をよく見てみましょう。このキットの場合 部品のつなぎ目がそのまま外側に出ることはないので
キットのままの部品分割で表面処理や塗装まで済ませ、最後に全てのパーツを組み上げます。
問題は異種素材の部分で、カバン本体と持ち手をつなぐ金具を自作しなければならないことです。
同様にニンジンのマスコットも。 ここら辺がポイントですね。
最後の行程ですがリボンは無くさないように。あと、ベース(飾り台)も必要です。
第二部 虚空の洗浄編
レジンキットの場合、部品の表面に離型剤と呼ばれる一種の油(のようなモノ)が付いてます。
これはシリコンの型から部品を取り出しやすくするためだったり また型そのものの寿命を
延ばすためでもあります。 が、コレが残ってると接着剤や塗装がはじかれれてしまうことが
あるので まずはこの離型剤を洗い落とすことから始めます。
ですがその前にレジンパーツの特徴を見ていきます。
茶色の線がシリコン型の分割線(パーティングライン)で 赤い部分が湯口(ゲート)です。
どんな部品にもかならずコレはあるので、こういった「本来あるはずがないモノ」を処理していくワケです。
同じ右腕の部品を反対側から。
左足の部品も同様に。パーティングラインが小さい(型ズレが小さい)、ゲートが小さい、といったことが
GKにおける(製品として)精度の高い部品、といえると思います。
いわゆる「手流し」と専門業者の差はソコにあると言えるでしょう。
で、ゲートなんかは最初にザックリでいいから落としてしまった方がいいでしょう。
部品本体を傷つけるカタチでもげてしまったり ひっかけてケガしたりしたら元も子もないですからね。
で、ようやく洗浄に入ります。一般的なHOW TO本では台所用のクレンザーと中性洗剤を混ぜたモノを
使い古しの歯ブラシでこすって、、、て説明なので まずはその通りに。
イヤ、別に銘柄を隠す必要はないんだけど、こんなカンジで。
で、あとはひたすらゴシゴシ洗うワケです。終わったら水でよくすすぎましょう。
この他にもレジン用の液体式やスプレー式の離型剤落としを使う、てのもアリますが
最近流行り?なのが自動車用のブレーキクリーナーとかを使う、というのがあります。
で、たまたま近くのホームセンターで見かけたのがコレ。
機械部品用のクリーナーです。
一緒に写ってるHGUCのザクや 張りつけ合体ゴーディアンと比べるとでかい!!けど
これで¥400ぐらいでした。たまたま売り出し中だったみたいだけど。
ちなみに臭いはブレーキクリーナーと似たカンジなので 多分成分も一緒でしょう。(ニオイで決めるな!!)
こちらは直接スプレーで吹いて、汚れが浮いてきたら歯ブラシでこすります。
水を使わない分、手軽かな?
あと、超音波洗浄機を使う、というのもありますが私は持ってません、、、。
第三部 表面処理 と書いて努力と根性と読む(前編)
多分、GKを組む場合一番めんどくさい、と思われる地味〜な作業がコレだと思います。
でも、この作業で手を抜くと明らかに仕上がりに影響するので避けては通れないのも事実です。
ただ、最近の業者抜きのキットは抜きがキレイで正直、そこまで苦労することもないと思います。
そこで端的な例として 80年代のキットやアマチュアの手流しキットをサンプルに
色んなケースに分けて表面処理の過程を紹介しようと思います。けっこうキツイよ、マジで(泣)
特別編 80年代ってこんなカンジ編
なんつーか、こぉ ヒジョ〜に男らしい ごっついゲートがついてます。
水着のフィギュアなのにふとももの真ん中でバッサリと切断、、、カッコイイ(笑)
胴体脇のパーティングライン、、、「断層」が見えるほど型ズレしてます。
手の平。指のあたりとか断面がタイヘンなことに、、、。
しかも手の平をかざしたポーズなので完成したらこっちが表に、、、ギャフン!!
、、、、、、まぁ、あの頃はみんなこんなカンジだったと思うけど、部品分割も含めて
とにかく作り手に優しくなかったというか、、、
だからもう一度各自で「面をつなげて整える」必要があったワケですよね。
その作業を一括して「表面処理」と言ったワケです。
、、、、、、ちなみに画像のキットが何か分かったヒトっています?
材料紹介
表面処理は「大きいモノから小さなモノへ」が基本です。
つまり大きな型ズレや気泡を修正〜小さな気泡やキズ消し、と進むワケです。
なのでその順に使用するマテリアルを紹介します。
まずはエポキシパテ。通称エポパテ。 色んな種類がありますが基本的な使い方は主剤、硬化剤の
2種類の材料を必要な分切り出して混ぜ合わせると化学反応で硬化する、というもの。
粘土状なので大きな盛りつけに向いてます。 下地への食いつきもよく、強度もあるのですが
硬化には数時間かかります。 銘柄によって値段や硬化時間、強度も違うのでお店のヒトに
相談してみましょう。タミヤ製のが入手しやすいと思います。
つぎにポリエステルパテ。通称ポリパテ。 コレも主剤と硬化剤を混ぜ合わせるのですが主剤が
ペースト状なので大きな盛りつけには向きません。下地への食いつきもエポパテに比べればイマイチで
ついでに混ぜ合わせる時空気が入りやすく気泡ができやすいです。あと、溶剤の臭いがキツイです。
ただ、量に対する値段が安いのと 硬化時間が短いこと、それに削り心地がいいこともあって
愛好家は多いです。 写真にはありませんがタミヤ製もあります。
今度はアルテコSSP HG。通称アルテコ、もしくは瞬着パテ。 これは瞬間接着剤(の一種)に
パウダー状の主剤をまぜることでペースト状になります。使い方は上のポリパテに近いので大きな
盛りつけには向きません。 ですがコレの利点はもとが瞬着(瞬間接着剤)なだけあって下地に対する
食いつきが強力なのと硬化時間が短い、削り心地がいい、といったことがあります。
難点は材料自体がやや多孔性でそのまま仕上げるにはむかないこと、パウダーが吸湿すると
とたんにもろくなることです。保管が難しい、ってカンジですね。
個人的にイチオシのユニークなパテがこの光硬化パテ、通称光パテです。これは可視光線に当てると
硬化する、というものです。ただし使い方にはクセがあって(基本的に)天気がいい日の昼間しか
使えません。直射日光だと1〜2分で硬化します。強度もあって削り心地もいいです。
ただ、盛りつける面をあらかじめラッカー溶剤でふいたり、硬化したら表面にべとつきのある溶剤分が
浮いてくるのでこれもラッカー溶剤で拭く必要があります。2mm以内の盛りつけに向いてます。
ラッカーパテ。通称、プラパテ。プラモデル用といえばコレじゃないでしょうか?キメの細かいセメント状のパテで
中の溶剤が揮発することで硬化します。つまり、チューブから出してそのまま使えるので 逆に言えば
使った後はキチンとキャップをしましょう。 これはもともとは造形用じゃなくキズ消し用なので
おおきな盛りつけはできません。また、溶剤分が揮発することによって固まる、ということは
その揮発した溶剤の分、体積が減る(肉やせ、ヒケるという)ので注意が必要。
コレをラッカー溶剤でうすく溶かせば「溶きパテ」となり、筆で塗ることも可能です。
サーフェーサー。通称サフ。瓶入りやスプレー式のがあります。下地の仕上げ用の素材で、
GKの場合、パテなどで表面の凹凸やキズを埋めたあと、このサーフェーサーで表面を覆って仕上げれば
表面処理の完了、となります。ひとつ気をつけたいのは プラスチック用のモノはGK(レジンキャスト)に
塗っても構いませんが GK用のモノを直接プラスチックに塗るのは避けてください。
成分が合わないのであとから剥がれてきます。
番外編 そもそもレジンって?編
いままでGKの材質をレジン、レジンと連呼してきましたが そもそもどんな材料かを
説明してませんでした。もちろん、キット製作そのものとはカンケーないのですが
知ってるとトラブルの分析や対処の仕方がわかりやすくなります。
銘柄はいくつかありますが 基本的にはA液 B液の2つの液体を同じ重さの分混ぜ合わせると
化学反応を起こし、発熱を伴って数分〜十数分で硬化します。
ちなみに模型業界で最もポピュラーと思われるのが写真の商品。故にヒトによっては「キャスト」と
言った方が話の通りがいいくらいです。色も含め様々な種類があります。一般的にはアイボリーが多いです。
で、これから重点的に解説していく「気泡」とはどのようにして生まれるのでしょうか?
主な理由に次の3つが挙げられます。
1)材料そのものに空気が混ざってる場合
2)A液とB液を混ぜ合わせる際、空気が混入する場合
3)シリコン型の作り方に問題があり、注型の際入り込んだ空気が抜けない場合
実はレジンは硬化するまでは流動性が高く、気泡は上へ上へと上ってくるものなのです。
ですから俗にいう気泡とは 硬化するまでに逃げ切れず、しかも部品の表面に残ってしまったモノと
考えてください。部品の奥深くにあっても作業には関係ないですからね。
ついでに型ズレの原因について
1)シリコン型の作り方に問題があり、そもそもズレている
2)型は正常だが、注型の際の型の固定(バインディング)がまずいために起こる
3)型自体が劣化し、変形をおこしている
あと、コレとは別に「硬化不良」や「発泡」もありますが こうなるととても個人では対応できないので
不良品として交換に応じてくれるよう、問い合わせましょう。材料そのものがダメになってるので。
やっとこさ作業編
前フリが長かったですね(汗) てなワケでやっと作業開始です。パテ以外の材料や工具はこんなカンジ
1 耐水ペーパー 番数が上がっていくごとに「目」が細かくなっていきます。
模型用だと #180〜#240〜#320=#400〜#600=#800〜#1000〜#1200〜#1500=#2000
ぐらいを使いますがキットを作るだけなら #240〜#800ぐらいのがあれば十分です。
2 スポンジペーパー スポンジの表面に耐水ペーパーが付いてる、と思ってください。広い面積や曲面を磨くのに
適してます。絶対必要、というモノでもありませんが使っている耐水ペーパーと同じ番数のを持ってると便利ですよ。
3 ニッパー 本来はプラモの部品をランナー(枝)から切り離す時に使います。GKの場合はゲートなどの不要部分を
切り落とすのに使います。
4 デザインナイフ 切ったり削ったり、コレがないと話になりません。切れ味が落ちたと思ったらすぐ刃の交換を。
5 ピンバイス 正確には手で回す小型のハンドドリルとドリルの刃、ということになります。
GK用なら1〜2mmくらいの大きさのがあればいいと思います。セット売りもあります。軸穴あけに必要です。
6 アルミ線 パーツを接続する軸に使います。金属にしては柔らかく、曲げやすいので調整がしやすいです。
プラ用のニッパーで切っても刃こぼれしません。 逆にガッチリした強度が欲しい時には真ちゅう線などの
硬い金属を使います。 その場合は金属用のニッパーやペンチを使ってください。
で、今度こそ作業に入ります。まずはニッパーやナイフで
目立ったパーティングラインを大まかに削ったら耐水ペーパーで削ります。
写真がブレてますが シャカシャカ削ってるカンジがよく出てます。実際は両手でしっかりやりましょう。
このときは#240〜#320ぐらいの番数です。
うまくペーパーを当てないと平面に削れてしまいがちです。面全体を磨くカンジでスポンジペーパーを
かけてみましょう。 #400ぐらいの番数で。パーティングラインはこうやって処理していきます。
これは顔の部品を裏から見たモノですが、矢印の部分に気泡があります。ですが、、、
髪の毛の部品を被せると完成後は見えなくなります。こういった部分は処理しなくてもいいでしょう。
無駄な手間を省くのが 完成への近道だと思いますし。(既に基本無視)
さて、表面処理とは別に 軸穴等をあける必要があります。レジンの部品はその大きさや重さの割には接着面積が
少なく、強度が足りないことが多いので補強用に金属線で軸を入れる必要があるのです。
親切なキットなら、パーツの接合面にあらかじめダボがあったり 原型制作時に使った金属線の跡をわざと残してる
場合もあるので それらを目安にピンバイスで穴をあけ、金属線を通すワケです。
こんなカンジで。当たり前ですが穴は接合面に対して垂直に、真っ直ぐが基本です。
また、薄いパーツは貫通させないよう注意してください。
で、アルミ線を通してカットした状態。もちろんコレは仮組用で、問題があれば調整が必要です。
ココで手を抜くと最後にキチンと組あがらない、、、なんてことに。
また、一度穴をあけておくと塗装の時とかに持ち手用の棒を差し込むのにも使え、便利ですよ。
あと、このキットの場合 カバンの持ち手に金具接続用の穴をあける必要もあります。
こちらは直径1mmのドリルで。当然、カバン本体にも開口します。
ここからは補足説明になりますが 大きく単純な面ならいいのですが 指のように細かく
入り組んだトコって削りにくいですよね。ちなみにヤスリをかけるのを「ヤスル」といいます。
で、ちょっとした工夫編。
ペーパーを二つ折りにして指の間の「谷間」をヤスル、の図。
でもコレよりさらに入り組んだトコには、、、
小さく切ったペーパーをピンセットでつまんでヤスル。というやり方があります。
こんなふうにして、ピンポイントでヤスルのです。一段くぼんだ奥まったトコに威力発揮!!
ヒマがあったら番数ごとにチップを作って貯めておくといいでしょう。
#400のペーパーで磨いた状態。気泡とかが見あたらなかったので表面チェックのために軽く
サーフェーサーを吹きます。 ただ、これまでの作業で手の脂が付いてる場合があるので
軽くでいいからもう一度洗った方がいいでしょう。消毒用アルコールで拭いてもいいと思います。
一回目のサフを吹き終わった状態、よく乾かしてキズのチェックをします。グレー1色になると
不思議なものでレジンの色そのままの時には気づかなかった微妙なキズが見えやすくなります。
で、もしパテを使わなければならないほどのキズがあればパテを盛ります。
このパーツも実はパテを盛らなければならないほどのキズはなかったのですが
それじゃ教材にならないのでとりあえず使ってます。
で、パテが硬化したらふたたびペーパーがけします。
今度は#400ぐらいでパテの部分だけ軽く、でいいと思います。
仕上げに#800ぐらいのペーパーで全体を磨きましょう。
こういうときはスポンジペーパーの方が便利です。
磨き終えるとサフとレジンの面がまだらになってこんなカンジ。
これにもう一度サフを吹いて表面チェックをし、問題がなければ下地処理の完了です。
問題があったらパテ盛りからやり直しです。
余談ですがサフを吹いてる光景。髪の毛の部品ですが。とにかく塗料の粉が飛ぶしニオイもするので
市販の塗装用のブースを設置いたり顔にもマスクをした方がいいです。できれば塗装用の。
テクニックも大事ですが 健康はもっと大事ですよ。
、、、、で、これらの工程を全てのパーツに施せば表面処理の完了です。
イヤ〜、壮観、壮観。しかし、イヤ、誤解がないように言っておきますがこのキットは抜きがキレイだったので
正直HOW TOの教材としては物足りなかったのですよ。結局パテもキズ消し用のプラパテしか
使ってないし、、、。 もちろん表面処理にかける手間ヒマが少ない、というイミだからいいことなんですが、、、
てなワケで どんなトラブルにも応用が効く?より難易度の高い表面処理講座を次回より始めます。
なんかもぉ。、コワイもの見たさ、ってカンジですが(笑)不良品以外のパーツなら
ドーーンと来やがれ!!てトコですか。 ホントに来たらイヤなんですが(弱気)
第三部 表面処理 と書いて努力と根性と読む(後編)
さて、表面処理もいよいよ後半戦というか やっかいな気泡処理に突入です。題して
お父様の裏切り者ォ!!編(カガリ調で)
前編であれだけパテの紹介をしておきながら自己否定っぽいですが 実は表面処理にはあまりパテは
使わない方がいいんです。というのもどんな材料であっても時間が経つにつれて材質自体が劣化するのは
避けられないんですが レジンとパテでは収縮率が違うのでどんなに丹念に処理しても後から
パテの部分が浮き出たり 最悪の場合にはヒビが入る、等のトラブルが出ることが多いのです。
ですから魔改造でもするのならまだしも(笑)単に部品の修正をする程度なら大きくパテを盛るのは
控えた方が無難です。 とは言っても厄介なトラブルを抱えたキット(部品)もままあるので
スピーディにかつ あまり色んな材料を使わずに表面処理をする方法を探ります。
ケース1 部品の端に気泡がある場合
こんなふうに部品の端っこに気泡がある場合、パテを盛っても成形中にポロッ、と取れたりしがちです。
そこで下の画像のようにキットにランナー代わりに付いてる湯口などを使って埋める方法を紹介します。
同じ材質だから基本的にトラブルは起きないハズです。ただ、本来なら同じレジンを使うのがスジですが
今回は教材として見やすいようにワザと下の方の違う色の(白っぽい)レジンを使っています。
それでは早速手順の紹介。まずは思い切って気泡ごとザクっと大きく切り出しましょう。
切り口が三角なのは その方がレジン片の接着面積が増えて接着強度が増すからです。
そして先ほどのレジン片を切り出した面に合うようにカットします。
2辺しかないから角度合わせは簡単なハズです。コツはレジン片を余裕を持って大きく切り出すことです。
で、そのまま瞬着でがっちりレジン片を接着します。
完全に固定したら後はニッパーで大まかに切断して
ナイフで細かく削って成形します。この後、ペーパーでヤスって面を均一に。
この後はフツーの表面処理の要領で。このやり方ならキズ消し用のプラパテを使うか使わないか程度しか
パテは使いません。今回は全くつかわないで済みました。
ケース2 単発的な気泡の処理
さて、次はいわゆる典型的な気泡の処理に行きます。上方の比較的大きなモノを題材に。
まず、ナイフで大きくえぐってみましょう。気泡は奥の方が大きかったりしますので。
ここでパテを使う方法もありますが今回はまたしてもレジン片で埋めます。
ただ、わかりやすいようにプラモのランナーを使ってます。鉛筆を削るようにして使います。
ピンバイスで開口します。上の2つが2mm、下が1mmです。
先ほどのランナーを穴に差し込み、そのまま瞬着で固定します。その後ニッパーで切断。
とりあえず埋めた状態。多少のスキマがあっても瞬着がパテがわりになってふさいでくれます。
んで、ペーパーをあてた状態。
サフを吹いてキズのチェック。パーティングラインの段差はあっても気泡は埋まってるでしょ?
後は通常どおりプラパテを盛って、乾燥後またペーパーでヤスって仕上げて、、、
もう一度サフを吹いてみます。処理した部分はキレイに仕上がってます。
気泡の数が少なければこの方法が一番てっとり早いと思います。
ケース3 密集した気泡の場合
とにかく気泡がかたまっててとても一個一個処理できない場合を見ていきます。まずは画像を。
こうなってると 一個一個ランナーで埋めて、、、というやり方はムリ。そこでいくつかまとめて
大きく気泡をえぐります。ゴッソリと。
こうなると何かのパテを使うコトになりますが ここではタミヤの光パテを使います。
パテを盛る面を予めラッカー溶剤で拭いてから盛りつけます。直後はこんなカンジ。
光をあた〜え〜てぇ〜(リヴァイアス調で)イヤ、ちょっと加工入ってますがこんなカンジで待つこと1〜2分。
歌ってる間に(ウソ)硬化しました。表面にベタつきのある溶剤が浮いてるので再びラッカー溶剤で拭きます。
あとはナイフで削ってペーパーがけをします。
その後は通常どうりの工程です。どんなパテを使おうとも、最後がこうなればOKです。
ケース4 段差の処理
プラ板の厚みでたとえるなら 0.3mmぐらいまでなら削りのみで対処してもいいですが
それ以上になると何かしらのパテを使います。片側0.5mmの段差でも両方合わせると1mmありますからね。
面がつながらないだけならまだしも部品の断面が変わってしまうこともありますので。
半分盛って半分削る、というのが理想です。ここではポリパテ(モリモリ)を使ってます。
硬化後、ペーパーがけして仕上げます。もしパテが剥がれたら瞬着でくっつけるか
イチからやりなおします。パテを盛る前に軽くその面をペーパーがけして荒らしておくのも手です。
WARNING!! WARNING!! WARNING!! WARNING!! WARNING!! WARNING!! WARNING!! WARNING!! WARNING!! WARNING!! WARNING!! WARNING!! WARNING!! WARNING!!
ここで任務完了かと思いきや、もっとも手強い敵が現れた!! 、、、、その名は、、、、!
ケース5 隠れ気泡(微細気泡)の処理
原因については諸説あるので割愛しますが、最も厄介なパターンがこれから紹介する
隠れ気泡(微細気泡)なのです。これは何かというと 表面に出ることなく、しかも部品の表面から
皮一枚下側にビッシリとしかも細かい気泡が隠れてる状態を指します。
つまり、よほど注意して見ない限り パッと見、どこに気泡があるかもわかりにくく、しかも
他の大きな段差や気泡を処理をしてる途中のペーパーがけしてる最中に見つかることが多い(!)のです。
ただ、コレはどんな条件でもできる、というモノでもないのですが発見したが最後、かなりヘコミます。
えぇ、もうおわかりでしょうが 今回も上の段差の処理をしてる最中に出てきましたとも(泣)
分かりやすいようにナイフでえぐった画像がコレ。
で、さらに分かりやすいようにうすくスミ入れしたのが次の画像。
ここまで小さい気泡が数多くあると一個一個処理するのは不可能に近いし、パテも上手く気泡に
入ってくれません。表面にベったりパテがあるとペーパーがけも一苦労、、、そこで
究極の基本無視テクニックを公開します。メチャクチャ乱暴なやり方ですので覚悟してください。
まず、表面を気泡のあるなしに関わらず、ダーーッ!!とヤスリがけします。
で、当然レジンの削りカスが気泡のあった穴に溜まります。この状態のまま、、、
流し込み式の低粘性の瞬着を気泡めがけて塗りたくります。(えぇぇぇぇぇ!?)
当然、こんなカンジ。瞬着を吸うと色が黒ずみます。
で、すぐにペーパーがけします。こんなカンジ
これを2〜3回やると大体の気泡は埋まります。
要はレジンの削りカスを無理矢理瞬着で固めてしまうワケです。別のイミで度胸要ります。
で、キズチェックのサフ吹き。まだ少しデコボコしてますがこれくらいなら
プラパテの処理で済みます。
で、プラパテを盛ったところ。乾いたらペーパーがけして仕上げ。
再度サフ吹き。この方法なら1時間もあれば仕上がります。野蛮です(汗)
ただ、当然ながらグレーサフを使うこと前提といいますか こんなやり方してたら
サフレス仕上げなんかできっこないです。
これで最初に「サフレスはしない」と言ったイミが分かってもらえましたか?
やはりあのやり方は相当キットの抜き状態に左右されるので万能とは言えないんです。
あ、もっともこの方法も複雑なディテールが入った面には使えないので
あくまで単純な面のみ、のやり方です。普通は溶きパテを筆塗りして
地道に処理していきましょう。やっぱり。
、、、、、こんなカンジで表面処理を進めていきます。面倒ですが成形状態が悪いキットほど
この作業はやらなきゃならないし、、、とにかく時間をかけてじっくりやりましょう。
で、ここで本来の ともみ(7)の製作に戻ります。長い番外編でした(疲れた)
、、、、、、あ〜、やっと表面処理が終わりました。
この後塗装に入るワケですがその前に下地の白を塗装します。
小さいキットならエアブラシで白を吹くのですが ともみは1/5スケールと大きいので
ベースホワイトを缶スプレーで吹きます。こんなカンジ。
下塗りの白を塗り終えた状態。写真はホームセンターに売ってあった発泡スチロールのブロックに
金属線を刺してますが レンガか厚めの木の板に穴をあけた乾燥台があった方がいいでしょう。
ムラがないよう、しっかりと塗ってよく乾燥させます。
第四部 塗装編
ついに、というか とうとう塗装編です。実は結構悩んだんですよ、どんな構成にしようかと。
というのも全行程中で一番やり方や工具にバラつきがあるのが塗装だと思うんです。
で、悩んだ末にとりあえず自分がやってることを ひとまず流して行こうと。
細かい説明は後から補足というカタチで追加していきたいと思います。
質問やリクエストがある方はメールかBBSでお知らせください。
てなワケで工具や塗料の説明は省きます。これらに関してはおそらく一人一人条件が違いますし
また、一般的なテキストなら模型誌にも載ってるからです。ので、それらの紹介。
まずはホビージャパン誌に連載されていたものを一冊にまとめた「ノモ研」。
現在、工作、塗装ともに最も総合的な解説書としてお役立ちな一冊といえるでしょう。
特に初心者の方はぜひ一読(というより購入)をオススメします。
全国の書店や模型店で発売中。定価¥2,200(税込み)
続いて、ホビージャパン1998年12月号。塗装、特にエアブラシに関しては
その機構から特性からメンテナンスの仕方まで詳しく解説。
ただ、若干古い本なのでその後発売された商品データなどがないのが難点。
しかし、内容そのものは今でも十分通用するすばらしいモノですので
バックナンバーを探してみることをオススメします。当時定価¥780(税込み)
最後にモデルグラフィックス誌2003年12月号。ガンダムを題材にはしてますが
実際はエアブラシ特集です。上記のHJの特集以降の製品もフォロー。あと、実際に
プロで活躍している方々に自分の使用している機種や方法をインタビューしてるので
これから商品を購入しようとしている方にとっては目安になるかも。当時定価¥780(税込み)
ここで紹介した書籍以外でもエアブラシやフィギュアキットの製作講座の記事がある本はイロイロ
あるのですが 今となっては手に入りにくい本が多いので、比較的新しい本から選びました。
そのうち、これはコレで別コーナーを作りたいですね。
みすまる的 塗装作業の流れ
ここで(あくまで)私の作業手順を紹介します。
1) ラッカー系塗料をエアブラシで基本塗装
2) 同じ塗料を筆でリタッチ
3) 場合によってはエナメル塗料で細部を仕上げ
4) アクリル絵の具で瞳の塗装
5) 場合によってはパステルで味付け
という流れです。あと、使用しているコンプレッサーはレトラ517,ハンドピースは
タミヤのスプレーワークHGトリガーブラシです。
その理由はレトラは作動音が静か(というより ほとんど無音)なのと ハンドピースが
トリガータイプなのは長時間使っても指が疲れにくいから、です。
あと、WAVEの塗装ブースと簡易板ながら塗装用防塵マスクを使用してます。
塗装を上手くに仕上げるコツは!?
技術や経験、知識も必要ですが、実は一番大切なのは
天気のいい日の日中に作業する
だったりします。目にいいとか体にいいとかじゃなくて 日中の自然光の方が断然 色の
「見え方」がいいからです。最悪、どうしても夜に塗装しなきゃならない場合でも
色の調合は昼間のうちに済ませましょう。人間の目というのは思ったよりアテにならないのです。
塗装の大原則
当たり前ですが 「明るい色から暗い色へ」「大きい面積から小さい面積へ」が基本です。
ただ、模型用の塗料は一般の絵の具と違い、「クリヤーカラー」や「メタリック色」のように
使い方や特性が特殊なものもあります。本番前にプラ板などに塗ってテストしてみましょう。
色づくりのコツは?
具体的なレシピはそれこそヒトによって様々ですが、長年フィギュア塗装をして思ったことを書きます。
こと美少女フィギュアにおいては 「白い部分を どんな”白”にするか」「肌の部分はどんな色に
するか」でほとんど出来映えが決まってしまうと考えてます。
「どんな白か」なんて矛盾した言葉に聞こえますが 完全な白だったら陰に落ちる色はグレーに
なるだけですよね? 要するに陰にどんな色を落としたいのか、それによって基本の白に
付ける「味」が変わる、ということです。頭の悪い例えになりますが「ガンダム」の白だって
陰色だけ見ていったら結構違いますよ。 Mk−2はグレーっぽいし、ダブルゼータは緑っぽいし
ニューガンダムはバイオレットっぽいですよね? まぁ、別に模型なんだから必ずしも設定どうりに
塗る必要はないんですが そういった微妙な「含み」を色に加えてやれば陰に落ちる色もコントロール
できるし、より元絵にちかいタッチも再現できると思うのです。
だから、「どんな白か?」というのは大事なんです、すごく。
で、次に「肌の色」。 私は基本的に「肌色」という言葉を(意図的に注意して)使わないように
してます。 なぜなら 「そんな色はない」からです。あくまで「肌に見える色」なんです。
実際の肌の色なんて一人一人個人差がある、なんてものじゃなく 同じ人物でも体の部位によって
違うのは当然として 同じ顔の部分でも気分や状況によっては紅潮したり青くなりますよね?
ついでに どんなヒトでも夏の暑い日に海にでも行けば日焼けもするし 外にでなければ
白くなりますよね? 個人差はあれど。
つまり 答えをただひとつの色に求めるのではなく、自分が表現したい肌の色はどんな色なのか、
そのためにはどうしたらよいのか、を考えて欲しいのです。
ただ、ぶっちゃけたハナシをすると 美少女フィギュアに関しては「カワイければいい」という
のも事実なので、自分がカワイイ(萌え〜!!)と思えるイラストをストック、その色使いを
研究してください。ベテランになっても必要なことですよ、コレは。