下品とは何か
本サイトに対して時々頂くご意見に「せっかくの良い内容が下品な言葉で台無しになっている」というのがある。もちろん好意に基づくご意見で、大変有り難いのであるが、今のスタイルをあらためるつもりは今のところ全くない。理由は簡単で「下品とは思わない」からである。ただし柄の悪い言葉遣いをしている部分があることは事実である。そこで今回のテーマは下品とは何かである。
大辞泉によると下品とは「品格・品性が劣ること。卑しいこと。また、そのさま。」だそうである。「―な人」「―な言葉遣い」という風に用い、上品の対義語である。それでは、品格とは何かというと「その人やその物に感じられる気高さや上品さ。品位。」だそうだ。ついでに品性とは「道徳的基準から見た、その人の性質。人格。」であるという。
筆者は、自分が道徳的基準から見て決して劣る人間ではないと胸を張って断言できる。「信義を重んじ」「質素を旨とし」「人に対して真心で接している」からである。簡単に言えば他人に対して悪意を以て接したことはないし、奢侈に走ったこともなく、何をおいても常に約束を果たすために全力を尽くし人を裏切るようなことをした覚えは皆無である。また自省の念なら誰にも負けない自信がある。故に、大辞泉の下品の定義に筆者は決して当てはまらない。
次ぎに、英語圏における下品の定義を見てみる。日本語の下品に当たる英語はvulgar;
coarse, indecentがある。
vulgarとは、a : lacking in cultivation, perception, or taste 教養、理解力あるいは審美眼に欠けること b : morally crude, undeveloped, or unregenerate 道義的に粗野(天然のまま)か、あるいは未発達か、悔い改めないこと。 c : ostentatious or excessive in expenditure or display 消費または振る舞いにおいて見栄を張ったり(けばけばしかったり)過度なこと。以上の定義からして筆者は下品では決してない絶対的な自信がある。
coarseとは、 crude or unrefined in taste, manners, or language嗜好、礼儀作法あるいは言語において天然のままかあるいはあか抜けしないこと。これだと筆者は言語において天然のまま(柄が悪い)の部分があるので一部当てはまる。
indecentとは、 not decent; especially : grossly unseemly or offensive to manners or morals礼儀正しくないこと;特に、礼儀または道徳に大いに不適当かあるいは攻撃的なこと。柄の悪い言葉遣いが礼儀に反するとすればやはり一部当てはまることになる。ただし道徳的には正しいので全てに該当するわけではない。
さてお次は中国である。英英辞典ならぬ中中辞典を持ち合わせないので史実から拾うことにする。世界四大聖人の一人孔子の門人に仲由、字(あざな)を子路とおっしゃる方がいらっしゃる。孔子より九歳若い。実はこの人、もと侠客(ヤクザ、無頼)であった。話も面白く豪快で孔子に愛された。断定はしないが結構柄の悪い言葉使いだったと筆者は想像している。ただし、その道徳心においては勝りこそすれ決して劣っていたとは思えない。次は誰でも知っている中国史の大立て者漢の高祖(〜BC195)沛郡豊邑(江蘇)出身。若い頃から、無頼と交わって遊侠を好んだと言うから自身も無頼だったわけである。多分柄は悪かったであろう。泗水亭長という小役人であったが、陳勝・呉広の乱のさなか盗匪となったが、挙兵して項羽と共に秦を倒し、遂には項羽を滅して漢帝国をうち立てた。皇帝陛下は品がいいのに決まっている(??)から下品ではないといえば言えるが、本当のところはわからない。しかし「法三章」の故事からもわかるように清濁併せのむ度量の広い人物であったことは間違いない。もちろん筆者の度量は狭い。念のため。
以上いらざる事まで書いてきたが、要するに下品かどうかは、その人の道徳観や規範意識それと他の人々に対して真心を以て接しうるか否かであって、決して言葉遣いが丁寧であるとかないとか、服装が上等であるとか綺麗であるとかではないことがおわかりいただけたと思う。
20年ほど前「君、世間では言ったことを守らないのは普通だよ。子供じゃああるまいし、何をごたごたいってんだい。」と言った○産党員がいた。最近も約束を反故にして平気なK州地方S県のエライさんがいた。きゃつらこそ絶対に下品である。しかし、言葉遣いは結構丁寧だった。上等な服装をして言葉巧みな詐欺師に騙される日本人が如何に多いかは過去の大規模詐欺事件やニセ皇族による詐欺等を見れば一目瞭然である。ネクタイを締めた楽天の社長とTシャツをきたライブドアの社長のどちらが道徳的だったか。人は見かけや言葉使いの丁寧さとちゃいまっせ、みなさん。