証言とチクリ

 九州の某県は凶悪犯が捕まらないので有名であるらしい。以前、ビート・タケシが司会をした番組で元捜査員が「このあたりの人はなかなか証言をしてくれないため捜査が『すべってしまう』」ともらしていた。昔ながらの日本社会が色濃く残る、人情厚く義理堅い県民性が裏目に出ているのであろう。犯罪をなくすこと犯罪者を捕らえ裁判に付すことは隣近所のつきあいよりも大きな価値があると筆者は思うのだが。
 さて、このように義理堅く証言をしないことで近所の犯罪者を結局のところかばってしまている一方で、いわゆる「チクリ」は大盛況なのである。近所のうわさ話にさらに尾ひれを付けて放送局顔負けの宣伝力を誇るお方もいらっしゃれば、終日他人の家の動静を監視しているお暇なお方、職場であること無いこと宣伝しまくる窓際オヤジ等々が跋扈している。今言ったことが数時間後には広範囲に伝わっていて驚いてしまうことがよくあるという。こうなるとNHKも民放も不要である。
 証言はしないがチクリは大の得意、という「村社会」の典型的な在り方を示す好例であるといえよう。



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