減点主義

 公務員の評価は減点主義だという。何せ、専門職以外の地方公務員などは「先例主義」という有り難い原則に則って誰でもできるような仕事をしているだけだから、そもそも「加点」することなどないというわけである。
 さて、公務員制度「改革」において、一体如何なる評価基準を設けて人事を活性化させるつもりなのかさっぱり見えてこないのだが、もし従来のような減点主義の人事管理を行うなら必ず「改悪」になることは火を見るよりも明らかである。なぜか。「減点主義」というのは要するに失敗の数で評価をするということである。では、失敗の数を少なくするにはどうすればいいかというと、仕事の量を可能な限り少なくすればよいのである。これは中学数学の「確率」を知っている人ならすぐに理解できる議論である。個々人に備わった「失敗」の「目」をだす確率が一定であれば、あとはさいころを振る回数が多いほど、「失敗」の数は多くなっていく。もちろん「成功」の「目」の数も増えるのだが、「成功」するのは当然と見なされ、評価の対象にされないわけである。従来、「減点主義」人事評価の下で「お役所仕事」が横行し、「休まず、遅れず、働かず」の怠け者の天下となった理由もここにある。
 民間企業で「減点主義」の人事などやっていたら、たちまち競争に敗れて倒産の憂き目に遭う。ところが公務員はというと、「親方日の丸」潰れることはない、と言う安心感から「公務員は減点主義ですから」などと堂々と自慢する輩まで出てくる始末である。
 公務員制度改革が「減点主義で怠け者の天下」となるか「評価基準の不存在で情実人事」となり、結局「悪貨は良貨を駆逐する」ことにならないようにお祈りするばかりである。



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