桶屋 風が吹くと桶屋が儲かる、成人式を廃止すると着物屋が怒る 呉服屋

 語に「風が吹くと桶屋が儲かる」という有名な噺があるが、世間の色々な関係は確かに無限の連鎖をなしている。特に利害の連鎖は強力である。ひとたび利害の連鎖が確立すると、そのうまみが何かの理由で消失しない限り、連鎖を構成する各パーツすなわち一個一個の鉄の輪が全力でその連鎖を維持しようとする。かくて既得権という利害の連鎖は社会の隅々にまで行き渡り、社会の流動性を阻害し、変革の道を閉ざし、発展性を消失させる。現在の日本では、これによる閉塞感、行き詰まり感が世の中を圧している。
 
て、先頃、日本中の成人式会場で、成人とは名ばかりの「不良少年」様達がやりたい放題ふざけたい放題のご乱行三昧を演じたとのこと。当然のように「成人式なんてやめたら」という意見が噴出した。ところがどっこい、「成人式廃止反対」を叫び、「成人式を廃止などしたら、次回の選挙の時応援しないぞ」と息巻く人たちがおるとの話を聞いた。どんな連中かとよくよく聞いてみると「呉服屋」さん達であるという。なるほど、今の世の中、着物など着る機会は成人式と結婚式ぐらいであるから成人式を廃止などされた日にゃ、それこそ「おまんまの食い上げ」になってしまう。不良がクラッカーを持って壇上にあがり、市長めがけて打ち込んでも「利害」と選挙には勝てないのであろうか。もうすぐ「成人式にピアスをしていかない男なんてどうかしている」とか、「正式の場では茶髪にするのが礼儀だ」とか言う世の中になってしまうかも知れない。もうあきませんなー、この国は。



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