境界性パーソナリティー障害Borderline Personality Disorder
1.診断
境界性パーソナリティー障害患者は、しばしば自己イメージ、気分、行動および密接な人間関係において反復的パターンの分裂および不安定を経験します。これは、友人関係と仕事における重要な苦痛あるいは悪化を引き起こすことができます。この障害患者は多くの場合、頭脳明晰で知的になりえます。また、暖かく親しみがあり、有能に見えることができます。それらの防御構造が、通常、恋愛関係の破局あるいは親の死のようなストレスの多い状況の周辺で崩壊するまで、彼らは、時々、数年にわたってこの外観を維持することができます。
2.症状
他者との関係は極度ですが、親密な、密接なつながりを維持する際の困難さおよび感情の顕著な変化を伴って激しく、不安定です。その人は他の人を操作するかもしれず、他の人を信頼することの困難さがしばしばあります。さらに、空虚で孤独なうつ病への、あるいは短気と不安への、顕著で頻繁な変化を伴う情緒的な不安定があります。過度の支出、乱交、賭博、薬物あるいはアルコール乱用を含むかもしれない、予測不能で衝動的な行動、万引き、食べ過ぎること、あるいは自殺の素振りのような身体的自己傷害的行動があるかもしれません。その人は、かんしゃく、持続性の陰気および憤り、喪失感、および恐怖と過剰な怒りの感情の制御の喪失を有する、不適当で極度の怒りあるいは激怒を示すかもしれません。さらに自己同一性、性的傾向、人生の目的および価値、生涯にわたる仕事の選択、友人関係に関する不確実性、混乱状態を伴う同一性障害があります。思考、感覚あるいは行動の中で極端に走る傾向とともに、人が欠陥があるか不完全か、損傷されているか、何らかの方法において悪いという執拗な感じがあります。極端なストレスの下では、あるいは重症例においては、奇妙な行動あるいは症候、現実との接触の損失を有する短い精神病のエピソードがありえます。より重症でない例においてさえ、しばしば恋愛関係および業務遂行の重要な崩壊があります。この障害に伴ううつ病は多くの苦痛を引き起こすことができ、重大な自殺企図に結びつくことができます。
3.病因
この障害は母集団全体の10-14%とに達するという評価を有する、ごく普通の障害です。女性における頻度は男性に比べ2〜3倍大きいのです。これは遺伝あるいはホルモンの影響と関係があるかもしれません。この障害と月経前緊張症の重症例との間の関連性が仮定されています。女性は、一般にうつ病に男性よりしばしば苦しみます。女性における境界例の増加した頻度はさらに彼女たちの幼年期における近親相姦経験のより大きな発生率の結果かもしれません。男性より女性に10倍しばしば生じると考えられています。そして、全女性の4分の1までに達するものと見積もられています。
慢性あるいは周期性の虐待および時には残忍な行為は、あとになって障害された人間関係、人間不信、および性的傾向、性的乱交、抑制、根深いうつ病およびひどく傷つけられた自己イメージに対する過度の没頭に帰着します。何人かの人々の中にこの障害に固有の素質があるかもしれません。このために、母親と幼児の関係の発展において、特に幼年期の分離と同一性形成の段階で、結果的な不全が続いて生じるかもしれません。
4.治療
治療は、共感的、受容的、批判的でないセラピストの面前で現在の障害および過去の経験の両方について患者が話すことを可能にする精神療法を含んでいます。治療は構造化され、一貫していて、規則的な、彼または彼女の通常の自滅的な方法でそれらを放出するのではなく、彼または彼女の感情について話すように激励された患者と行われる必要があります。
時々、抗うつ薬、炭酸リチウムあるいは抗精神病の薬物治療のような薬物治療は、ある患者に、あるいは個々の患者の治療のある時期に役立ちます。治療が継続可能である場合、任意のアルコールあるいは薬物乱用問題の治療は多くの場合強制的です。短い入院は、急性のストレスの多いエピソード中、あるいは自殺あるいは他の自滅的な行動が勃発する恐れのある場合に時々必要かもしれません。入院は、外部ストレスの一時的削除を提供するかもしれません。外来患者の治療は通常困難・長期で、時々数年以上にわたります。
治療のゴールは、人間関係の増加した安定、より大きな衝動コントロールを伴う増加した自己認識を含むでしょう。肯定的な結果は人の不安に対する増加した耐性にあるでしょう。治療は、精神病の症候あるいは気分障害症候を緩和し、一般に、全人格を統合することを支援するべきです。これで、意識および自己観察と内省の受容能力の増加によって、患者が前半生において悲劇的にも設定した硬直した様式を変更することができ、またその様式が次の世代のサイクルに繰り返して出現するのを防ぐことが望まれます。(Richard
J. Corelli, M.D.)
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