第455回 比較するのではなく

 
平成 13年 10月 11日〜

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございます。

こんなことを聞きました。
若いときには、気づくことはなかったものの、お念仏の教えに
出会うことで、はじめて味わうことができ、人生観が変わってきた
という方の言葉です。


子供のころから勉強勉強と頑張り、就職してからは、
会社会社と競争に勝とう勝とう、負けてはいけないと
頑張ってきたが、会社を退職して、時間に余裕が出て、
はじめてお寺で、お話を聞かせて頂くようになって、
これまでの自分の生き方は、これで良かったのだとうかと、
考えるようになって来た。


と言う男性の方です。

学校でも、会社でも、家庭でも「成せばなる成さねば成らぬ
何事もと」頑張れば何とかなると、頑張りづめで、勝てば喜び、
負ければ悔しがって、また頑張るという、がむしゃらな生活を
送ってきたものの近頃感ずるのは、勝っても負けても、
どちらでも通用する世界があることを知ったと言われます。


我を忘れてひたすら競争し、いつも緊張して努力すること
だけしか知らなかったが、のびのびと生きる世界があることを、
喜びを持ちながら生きていける世界があることを感じるように
なってきたと言われます。


ちょうど、アメリカの大リーグで活躍し、大きなタイトルである
首位打者を決めたイチロウが、記者会見でいっていた言葉も、
素直に理解出来るようになってきたと。


イチロウは、誰かと競争して、誰かと比較して一位に
なったということよりも、自分で目標をたてその目標に
向かって、自分なりに十分に手ごたえが得られた
ということこそが、うれしいとの発言に、とても共感が
得られるようになった。


誰かと比較して勝った負けただけではなく、自分が
満足のいく成果が得られたことの喜び、自分で納得いく
努力が出来たという充実感、これこそがことによると
お念仏の教えに通ずるものではないかと感じたと言われます。


自分が出来ること、精一杯努力して、比較するのではなく、
自分に恥じない生活ができた、そのことの喜びこそ、
お念仏の教えに通ずるのだと思います。


そしてこれは、自分でお念仏しての生活を始めて、
初めて感じさせていただける味わいだったとも言われます。


相対的な喜びではなく、絶対的な喜びを持たせていただく
ことだと感じましたとの言葉です。
南无阿弥陀仏は、今まで気づかなかった世界、新しい
喜びの世界を気づかせていただくことが出来るのです。


妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。
次回は、10月18日に新しい内容に変わります。

   

          

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