第452回 今を生きる教え

     
平成13年 9月20日〜

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。

東西対立の冷戦時代が終わって、平和な時代が来たと
思っていましたが、旅客機をハイジャックしたテロ事件が
起こって、びっくりしています。


中東ではイスラエルとパレスチナとの戦いのニュースは
絶えませんが、それがアメリカに、しかも経済と政治の
中心地に飛び火したことで、宗教的な対立の
根深さを感じます。


ユダヤ教とイスラム教との戦いが、キリスト教国へ
飛び火したようにも感じます。


アメリカは、キリスト教の国と思えますが、政治経済
マスコミなどユダヤ人の影響が非常に強いようで、
このためアメリカ政府は、ユダヤ教のイスラエルを
強く支持しているように、中東の人、イスラム教の
人びとには見えてしまうのだと思います。               



 ところで、イスラム教の中でも原理主義というのか、
復活主義というか、イスラムの教えが説かれている
コーランに忠実に生きていこうとする人びとは、
現代のように経済中心物質中心の濁った世界を、
子供や孫には残したくないとの強い主張があるようです。


タリバンといわれる原理主義者の考えでは、女性は
教育を受けることも、職業を持つことも禁止されており、
また西洋の映画や音楽なども排斥して、神を中心とした
純粋な精神世界を目指しているようです。


そのためには、自分の命を投げ出して殉教することも
恐れず、イスラムの教えの原点に返ろうとするものです。


この世をたとえ犠牲にしても、次の世に期待して実践する
ことを求めているようです。



 ところで、浄土真宗もお浄土を説き、お念仏の人は、
命終わると同時にお浄土へ生まれるということをいいますが、
これをこの世を諦めて次の世に希望を持つ教えのように
誤解する方があります。


ところが、浄土真宗は次の世、お浄土がすばらしい
世界であることがうなずけると、そこに生まれる前から、
生きている今この時に、生きがいが芽生え、大きな
希望が持て、積極的な生活が出来るようになる教えです。



南无阿弥陀仏のお念仏とともに阿弥陀様の働きを味わうとき、
将来に期待するだけではなくて、今この時を力強く生きて
いくことができるようになるのです。


今を犠牲にして、将来を期待するのではなく、将来の
喜びが今の喜びに転じられていく教えです。

人間が人間らしく生きることのできる力を与えていただく教え、
それが南无阿弥陀仏の教えです。


妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。
次回は、9月27日に新しい内容に変わります。


   

          

本願寺・りビング法話へ