11年11月11日〜17日まで
妙念寺電話サービスお電話ありがとうございます。
衛星放送で、映画が出来て100年にちなんで、100本の
日本映画を放送していますが、先日、おもいがけなく戦後間もなくの
映画を見ました。
キューポラのある街という、吉永小百合さんが中学生を演じる
白黒の映画ですが、時代が大きく変わったことをつくづくと感じました。
小さな鉄工所に勤めている父親が不況のために、
工場を辞めさせられ、なかなか次の職が見つかりません。
中学3年生の少女は、高校に進学したいと思うものの、
小さな弟や妹も多く、進学したいと打ち明けられません。
ないしょでパチンコ屋さんでアルバイトをして、入学のための費用を、
自分で稼いでいます。
アルバイトを隠すために友達の家で勉強していると言う娘に、
母親が 「そんなに勉強して何になるの、早く帰ってきて、
家の手伝いや、赤ちゃんの面倒をみてよ」 というのです。
こうした苦しさを耐えて育った人たちが、今では、親の世代、
祖父母の世代になったのでしょうが、
現在は、「家のことはいいから、自分の勉強してよ。勉強しなさい。」
「お願いだから、この食事を食べてちょうだい」 と、
勉強したくても出来なかった、食べたくても食べれなかった
子供のころの反動で、自分の可愛い子供たちだけは、
あんな苦しみや、くやしさを味わせたくないと、
一生懸命になっているのでしょう。
戦後のこの時代は、自分のことよりも、家族のため、兄弟のため、
苦労し努力してきた時代です。
しかし、現代は、自分だけのために努力し、頑張ることを、
求めているようです。
昔だと、自分のことだけを考えるのは、我がままであり、
思いやりのない薄情者と思われたことを、今では、大人たちが
そろって、子供に強いているようです。
人間の本質は、自分の子供や、自分の親など、その喜ぶ顔を
見ることで、心から喜べるように出来ているようです。
しかし、今、そうしたことが無駄なこと、必要ないと思われて、
自分のことだけを考えるように勧めたために、生きがいのない人生を、
大人も子供も、お年寄りも、送っているようです。
皆そろって喜びの少ない人生になってしまっているようです。
浄土真宗の教えは、往相回向と還相回向の二つの回向が
説かれています。
この私が、悩み苦しみのないお浄土に生れさせていただくと同時に、
阿弥陀如来と同じさとりを得て、この迷いの世界のすべての人々を
救う働きをする。
自分だけの喜びではなく、自分が誰かのために働き、
誰かのために役立つ、そうした仏の仲間にしていただく、
この教えの中に、人間の本当の喜び、人間の本質が
説かれているように味わえます。
南无阿弥陀仏のお念仏だけでいい、あとは、いま自分が
出来る仕事を、毎日の生活を精一杯実践すれば、
やがてはお浄土に生れさせるという教えに、すべてをお任せして、
それぞれの立場でそれぞれに努力したいものです。
南无阿弥陀仏を口にして南无阿弥陀仏の声を聞きながらの
日暮をさせていただきたいものです。
妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。
次回は、11月18日に新しい内容に変わります。