第353回 法蔵菩薩の修行は
          

平成11年10月28日〜11月3日          
妙念寺電話サービスお電話ありがとうございます。
一年のうちで、この季節が一番しのぎやすく仕事にも
実が入るころでしょうが、なかなか思うように努力が
出来ないのが人間です。

とても、仏になるような修行が出来ない私たちのために
法蔵菩薩は、長い間考え、長い間修行をして、この私を
救う法を完成されました。
その法蔵菩薩の修行の模様を、大経には次のように
説かれています。

「貪りの心や怒りの心や害を与えようとする心を起こさず、
また、そういう想いを持ってさえいなかった。
すべてのものに執着せず、どのようなことにも耐え忍ぶ力を
そなえて、数多くの苦をものともせず、欲は少なく足ることを
知って、貪り・怒り・愚かさを離れていた。

そしていつも三昧に心を落ちつけて、何ものにもさまたげら
れない智慧を持ち、偽りの心やこびへつらう心はまったくなかった
のである。

表情はやわらかく、言葉はやさしく、相手の心を汲み取って
よく受け入れ、雄々しく努め励んで少しもおこたることがな
かった。

ひたすら清らかな善いことを求めて、すべての人々に利益
を与え、仏・法・僧の三宝を敬い、師や年長のものに仕えた
のである。

その功徳と智慧のもとにさまざまな修行をして、すべての人々
に功徳を与えたのである。

 空・無相・無願の道理をさとり、はからいを持たず、すべては
幻のようだと見とおしていた。
また自分を害し、他の人を害し、そしてその両方を害するような
悪い言葉を避けて、自分のためになリ、他の人のためになり、
そしてその両方のためになる善い言葉を用いた。

国を捨て王位を捨て、財宝や妻子などもすべて捨て去って、
すすんで六波羅蜜を修行し、他の人にもこれを修行させた。

このようにしてはかり知れない長い年月の間、功徳を積み
重ねたのである。

 その間、法蔵菩薩はどこに生れても思いのままであり、
はかり知れない宝がおのずからわき出て数限りない人々を
教え導き、この上ないさとりの世界に安住させた。

あるときは富豪となり在家信者となり、またバラモンとなり
大臣となり、あるときは国王や転輪聖王となり、あるときは
六欲天や梵天などの王となリ、常に衣食住の品々や薬などで
すべての仏を供養し、あつく敬った。それらの功徳は、とても
説き尽すことができないほどである。

その口は青い蓮の花のように清らかな香りを出し、全身の
毛穴からは栴檀の香りを放ち、その香りは数限りない世界に
広がり、お姿は気高く、表情はうるわしい。

またその手から、いつも、尽きることのない宝・衣服・飲みものや
食べもの・美しく香り高い花・天蓋・幡などの飾りの品々を出した。

これらのことは、さまざまな天人にはるかにすぐれていて、
すべてを思いのままに行えたのである 」

法蔵菩薩の永劫の修行の模様は、このように説かれています。

私たちは、この中の一つとして実践できるものはありません。
しかし、せめて表情はやわらかく、言葉はやさしく、相手の心を汲み
取ってよく受け入れ、雄々しく努め励んで少しもおこたることがな
かった。
その真似事でも勤めたいものです。

こうした努力ができないものは、お念仏を信じ称えることで
救うとの願いを、ありがたくいただきたいものです。

妙念寺電話サービスお電話ありがとうございました。
次回は、11月4日に新らしい内容に変わります。
尚、妙念寺の秋の法座は、11月の13日、14日の午後
に計画しています。ご予定ください。