還帰せしめけり

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浄土真宗の「浄土」、阿弥陀如来のお浄土、煩悩のけがれを

離れた清らかな世界である　浄土を信じられないと言う人があります。

それというのも、浄土から帰ってきた人があれば信じることも

できるけれど、浄土を体験した人に、まだ出会ったことが

ないから　信じられないのだといいます。

ところが親鸞聖人が書かれたご和讚を拝見すると、

お釈迦様は、今から二千五百年前にお浄土から来られて、

お浄土のことを詳しくお話しくださり、

そのお浄土へ行くにはどうすればいいのかを説いていただき、

お浄土に帰えっていかれた方だと味わっておられます。

それに、お師匠さまの法然上人もまた、お浄土から

来られた方であり、お浄土に生まれるには、お念仏でなければ

生まれられないと説かれて、お浄土へに帰られたと

おっしゃっています。

本師源空は、「浄土にかへりたまひにき」、あるいは、

「浄土に還帰せしめけり」というお言葉です。

還帰というのは、還相廻向の還の字に、帰るという字を

使っておられます。

お釈迦様と同じように法然上人もお浄土に帰られたと

おっしゃっています。

この還帰という言葉が、一つの手掛かりとなり、

福岡県では、大事な人が亡くなった時に、

玄関に還浄という張り紙をするところが多いようです。

忌中とか喪中の張り紙ではなく、還浄との張り紙です。

お釈迦様や七高僧など、お浄土へ帰られた方々と同じように、

この私の父母も、お浄土のことを語り、お浄土へ生まれるための

ご縁をつくってくれたので、まるで、お釈迦様と同じように、

七高僧の方々と同じように、還相の菩薩であっただろう。

命終えられた今、間違いなくお浄土へ帰られた方であろうと

いう意味でしょう。

その証拠には、この私がお念仏の教えに出会わせていただいたのも、

あのお方のお陰だと、言うことでしょう。

しかし、私たちは、お浄土へ生まれさせていただくのは、

この度が初めてのことであり、これまでは、長い間、迷いの世界に、

三界六道の迷いの世界に生まれ変わり死に変わりしてきたのであり、

今度初めて念仏に出会い、お浄土に生まれさせていただく身に

していただいたのだと、親鸞聖人はおっしゃっています。

私に身近なあの方が、お釈迦様や親鸞聖人のように、

この私を確かにお念仏に導いてくださった方であると、

はっきり言えるようになりたいものです。     


     

そして、お念仏に出会えたことを、何よりも喜びたいものです。

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次回は、１２月１１日に新しい内容に変わります。

                        （ 平成 ９年１２月４日〜　第２５４回 ）