第1256回 憂いも悩みもない世界

   平成29年 2月23日~

 お釈迦さまの教えは 数多く、84000の法門と言われます。
その中で 親鸞聖人が自分の為に説いていただいた教えだと受け取っておられるのが 
仏説無量寿経、仏説観無量寿経、仏説阿弥陀経の三つ、浄土三部経です。


では、その他の多くの教えは 誰の為に説かれたものでしょうか。
それは 出家して修行を重ねて さとりを開こうとする方々のために
説かれた聖道門の教えとの受取りなのでしょう。

 親鸞聖人も 最初は出家して 比叡山で 厳しい修行に励まれました。
しかし、さとりを開いておいでの先輩たちの姿が、周りには、見当たらない。
教えの通りに修行しても どうして、さとることができないのか。

そう悩んでおいでの時に、末法思想が説かれていることに気づかれました。

お釈迦樣の時代、そしてその後しばらくの間は 教えの通りに修行が出来て、
さとることが出来る人も数多くおられたのでしょう。
やがて、1500年以上経過すると、修行することも、さとることも
出来ない時代が来るという、衝撃的な内容が説かれていることに落胆され
末法の世であっても、すべてのものが救われるという お念仏の教えを説く
吉水の法然聖人の元を訪ねられました。
二十年間の修行した実績を全てを捨ててお弟子になられたのでした。


 浄土三部経の一つ、仏説観無量寿経には インドのマガダ国の阿闍世王子が
父の王ばかりではなく、母親にまで、刃を向け やがては、奥深い牢獄に
閉じ込めるという事件がおき、王妃である韋提希が、はじめて自分の人生の
無常さに気づかされ苦悩する姿が説かれています。


 韋提希は、お釈迦樣に助けを求め、
「わたしのために憂いも悩みもない世界をお教えください。わたしは
そのような世界に生れたいと思います。この濁りきった悪い世界には
もういたいとは思いません。・・・・・
このわたしに清らかな世界をお見せください 」と懇願しました。

この世は、素晴らしいと思っていたのに、まるで地獄や、餓鬼や畜生の
住む世界のように思えて、こんな世界にはもう住みたくない、悩みや 
憂いのない世界へ 生まれたいと願ったのです。


それに応えて、お釈迦樣は、さまざまな仏さまの世界をお見せになり、
韋提希夫人は その中から阿弥陀如来の極楽浄土を選び取りました。
そして、そのお浄土を拝見することのできる修行法を、説いていかれ、
その最後に、無量寿仏の名を保てとあり、苦しい修行に因るだけではなく、
お念仏の教えによって、その世界を知ることが出来ると説かれています。

 自分の置かれた真実が見えない間は、この世の中でなんとかうまく生きて行こうと、
様々な努力をして、生きています。

しかし、この世の無常に気づき、はじめて、この世は、いかに思い通りにならない
世界であるかということを味わわされ、もっと理想の世界を求めたのです。


お釈迦樣が教えてくださる南無阿弥陀仏によって、理想の世界の存在を知り、
その世界を目標に近づくように生きていくことで、今生きている世界は、
意味のある価値あるものであると、気づかせていただけるのです。


南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏で 法然聖人や親鸞聖人と同じように、
すべての人が平等に救われ仏となり、思いのままに活躍出来るお浄土へ道を
歩ませていただきたいものです。そして心を豊で生き甲斐ある人生を送らせて

いただきたいものです。


          


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