第1184回 こころの進歩

 平成27年 10月8日〜

 前のご門主の新しい本「人生は価値ある一瞬」の中に
こんな 文章がありました。

 私たちは、生まれたときから常に、「進歩」することを生活の原理
としています。学校では、多くの知識を増やして成績上位を目指し、
会社に勤めると、業績を上げてより高い収入と地位を目標とします。 

近代の日本人を導いてきたのはこの「進歩」の思想で、確かに優れた

点もたくさんありました。しかし、他方では、受験戦争など激しい
競争社会を生み出してきたのも事実です。


 こうした学歴や出世、収入などは、他人と比較して外から見える
「進歩」だとすれば、同じ「進歩」でも、外から見えない「進歩」があり

ます。自分の内面における「こころの進歩」です。

 「こころの進歩」とは、ほかの人と比べてよりよい人間になること
を言うのではありません。自分がいかにいたらない人間であるか、
かに自己中心的な人間であるかに気づきはじめることを言います。

こに気づけば、「実ほど頭を垂れる稲穂かな」という箴言(しんげん)

にもあるとおり、おのずから他人に対して謙虚になります。

 とはいえ、人間はなかなか自分を正しく見られません。ともすると、
よい点は過大に認め、悪い点は割り引いて見るなど、自分に甘く、
人に厳しくなりがちです。自分のほんとうの姿は無意識に見ないように
してしまうからで、それだけに、「こころの進歩」を意識して生き
必要があると思います。


   株式会社PHP研究所発行 「人生は価値ある一瞬」より

         


           私も一言(伝言板)