第1173回 求めなくても

 
平成27年 7月23日〜

求めなくても知らないうちに得られるすばらしい利益
が獲られると。

 如来の本願を信じて一念するに、かならずもとめざるに無上の功徳を
 得しめ、しらざるに広大の利益を得るなり。
               (「一念多念文意」「註釈版聖典」六八五頁)

 信心の利益について親鸞聖人は、常識では到底理解できないような
利益を述べておられます。

この言葉は「大経」の結びに示される流通分の弥勒付属の文を

解釈されたものです。
そこには如来の本願を信じてひとたび念仏すれば、無上の功徳と

広大の利益が得られると示されています。

 無上の功徳と広大の利益とは、『浄土文類聚鈔』に、

 信を発して称名すれば、光摂護したまふ、また現生無量の徳を獲。
                      (「註釈版型典」四八六頁)

と述べられる「無量の徳」と同じ利益であって、これ以上ない、
はかり知れない、すばらしい功徳・利益を意味します。

しかも、ここで「もとめざるに」とか「しらざるに」
と表現される言葉に留意しなければなりません。

無上の功徳や広大の利益は、求めようと思って、私たちの
はからいをいくらもってしても恵まれる利益ではなく、
また知らないうちにおのずと得られる利益であることが
語られています。

こちらの方から求めなくても知らないうちに必ず得られる
すばらしい功徳・利益とは一体どのようなものであるのか、
この内容を解明していくことが浄土真宗の具体的な現世利益に

繋がっていくのではないかと思います。

 
本願寺出版社 白川晴顕師著 妙好人のことば 信心とその利益 より

         


           私も一言(伝言板)